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第127話  スタンフォート領のお酒作り

 ニコラウスとジューク騎士団長が退席し執務室内は2人だけになった。


 うっかりポロッとしてしまったのか?やってしまった。


「ジェイ、ごめんなさい。ポロッと言ってしまいました」

 抱き寄せられ、膝の上に座らされる。むっ、またこのパターンだぞ。額と額を付き合わせて会話している。


「考えがあったら、すぐ言って欲しい。ふふっ、アレクセイがあいつは考えたことをポロッと言ってしまうから困ると言っていたが本当だな。アイリの場合はみんなのことをいつも考えているから、考えが出たらポロッと言ってしまうのだろうなぁ」


「ごめんなさい。騎士団の人たち領地のために命を賭けていらっしゃるので、少しでも力になれればと思っていたの。食事でもそうですが、ポーションを固形化しようと学校で考え中なのです。ポーションは液体で瓶詰めされているので重い。そして持っていくのが大変。マジックバッグが多くあればいいのですが、私がいっぱい作ってしまうとよくないだろうし、ポーションをラムネみたいなもので接種できれば軽量化されていいのかなぁと考えているのです」


「アイリ、また、待て待て。ラムネ?とは?あとマジックバッグを作る?作れるのか?」


 あら、言っていなかったわね。貸出しているマジックバッグは制約魔法が掛かっているから、泥棒されてもただのバッグになるようにしている。


「私、魔力量が多く付与があるのでマジックバッグが作れてしまったのよ。今度、ジェイのために作ってみましょうか?それとラムネは粉を固めたもの?ちょっと違うかな。ても美味しいの」


「ラムネはいまいちわからないが、マジックバッグはそうだね、作ってもらおう。私のステータスは見せたがアイリのステータスをもう一度見せてもらえないか?ダメかな」


「大丈夫よ。ステータスオープン」


「アイリは鑑定持っているのか?集合が時間停止付きって」


「鑑定と収納の時間停止付きは、前世の記憶を思い出したら、出現したのよ。それまではなかった思うわ」


「前世の記憶を思い出したのはいつか?」


「言いにくいけど、ジェイのタウンハウスで階段から落ちて目が覚め時に、前世の記憶が蘇ったのよ。びっくりだったわ。ここはどこ?手や体がブクブクだったから、何これ?としか思えなかったわよ。両親やメイドさんたちは、髪の色がカラフルだし、私の前世は黒髪黒目だったから、本当にびっくりよ」


「前世はどういう人だった?」


「そうね、正義感は強いわよ。困難なことでも立ち向かっていったかなぁ。私20歳すぎまでは家庭が裕福な暮らしをしていたのよ。ずっと続けていたのは剣道という武術。頭脳はまあまあよかった方じゃないかなぁ。自分で言うのも恥ずかしいけど。でも、世界情勢で父親が経営する会社がうまく行かなくて、お金が少ない生活になってしまったのよね。だけど、両親は一緒に頑張って働いていたから、私も働きながら弟や妹たちの面倒を見ていたの。洋服をお直しして、みんなでご飯作って細々と暮らしていたけど6人の生活は楽しかったなぁ。ルー、ルルーシェ様の前世の担任がうちの弟だったの。信じられる?学校の先生になるんだとは言っていたけど、熱血体育の先生だって。2人の子供に恵まれたって。妹たちにも子供がいて、両親の周りが華やいでいてよかった。ぐずっ、みんなに会いたかったなぁ」


 ジェイシス様は黙って、背中をさすってくれたり、頭を撫でたり、額やこめかみに口づけをしてくれた。


「ごめん、ジェイ。へへ、しんみりしちゃった」


「今は、アイリには俺がいる。アレクセイやご両親もいる。カイルやレオン、俺の両親もいる。それに友達もいる。前世の両親や兄弟に誇っていいと思うよ」


「そうだね、かわいいかわいいカイルやレオンもいるね」


「かわいいカイルやレオンだけではないだろう」


「じゃぁ、可愛い可愛いジェイがいる?」


「俺は可愛くないぞ」


「ジェイ、ありがとう。これからもよろしくね」


「こちらこそ、奥さん」


「早いわよ。奥さんは、恥ずかしい」


 朝から騒がしかった。ドリガン親方が早々とやってきた。


「はやっ」


「酒を作るっていうから早々に来たぞ」


「構想はあるけど、早すぎるのですがー」


「まぁ、いいじゃないか、どんな形でどんな構造なんだ?」

 酒といったら聞く耳持たないよ、このおじさんたちは。まぁ、いいか。このスタンフォート公爵領には大麦もたくさんあるのよ。大麦と言えばビール。喉越し爽やかビール。


 ドリガン親方にタンクを作ってほしい。どうする?言ってみる?


「姉ちゃん、なんだい。言いたいことがある顔なんだよ。何作ってほしいのか?」


「ビールを作るためのタンクがほしい。喉越し爽やかなのよ。水に浸す。発芽。乾燥。発酵。濾過。熟成なのよ」


「は?喉越し爽やか?考えてみるよ。エールににているのか?」


「お友達の関係かな」


「まぁ、エールに似ているなら、わかるかな。やってみるよ」

 頼りになるドリガン親方。


 こうして私のワイン、ビール作りはスタンフォート領で始まった。また、ジェイシス様に詳しく話していなかった。まずい、怒られる。

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