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第126話 スタンフォート公爵領での補佐と騎士

 翌朝、ジェイシス様は鍛錬に行くためにいつも通り起きていた。私も起きようとしたが、まだ寝ているようにと諭される。

 ジェイシス様が行ったことを確認して、私はメイドのケーナに支度を手伝ってもらい、厨房へ向かった。


「おはよう、みなさん」


「えっ、アイリ様、いかがされましたか?」


「忙しいところごめんなさい。少し見学に来てみたの。ご迷惑になると思うので、端の方で見させてもらうわ」


「いえ、あのご教授いただければありがたいです。お願いします」


「私、料理の専門家ではないので、大した教えはできないのよ?」


「アイリ様と一緒に料理が作りたいです。だめでしょうか?」


「いえ、一緒に作りましょう」

 朝食用は既に作ってあるということだったので昼食をみんなで考えながら作った。やっぱりみんなで作るのは楽しい。常備品としてのジャムは伝授しておいた。


 ジェイが鍛錬から戻ってきたので、一緒に朝食をとった。


「アイリ、昨日の続きを聞きたいから執務室に来られるか?」


「大丈夫です」

 エスコートされ、執務室に入った。

 木目調の落ち着いた執務室。そこに、この家を統括している執事ニコラウスと騎士団長のジューク サージカル ガストンがいた。ニコラウスは王都のタウンハウスを仕切るファーガソンの兄だそうだ。貴族の家に仕えるというのは一家でということなのだろうか。モンテスキュー家の王都と領地も執事は兄弟だから、代々受け継がれるのかな。信頼は大事だからね。


「執事のニコラウスは紹介したと思うが、改めて、執事でここの領地を東葛してもらっているニコラウスだ。王都の執事、ファーガソンの兄だ。そして、騎士団長のジュークだ。スタンフォート家の寄子、ガストン伯爵の二男だ」


「挨拶は始めにいたしましたが、再度、執事のニコラウスです。よろしくお願いいたします」


「騎士団長を仰せつかっております。ガストン伯爵家二男、ジュークと申します。アイリ様に物申します」


 ???物申す??


「お、おい。ジュークやめんか」


「我々騎士団にも、パンや料理の試食係をさせてください。厨房だけずるいです。お願いします」


 私はジェイシス様を見て、どうする?と投げかけた。


「アイリ、ジュークは実直で、部下思いですぐ行動に移すやつなんだ。全く悪いやつではないが、思ったことをすぐ口にしてしまうのだ。多分、みんなの意見なのだろう」

 騎士団長のジューク様はうんうん頷いている。


「脳筋・・」

 私はぽろっと言葉に出してしまった。


「あははは、アイリ、うまいこと言う。脳筋。脳が筋肉でできているってことか?」

 ジェイシス様、笑いすぎです。


「あっ、脳筋と言ってごめんなさい。悪い意味ではないのよ。そ、そうですね、みなさんがどう言った味が好みなのか教えて欲しい。その土地柄で味何濃い薄いとありますので、この領地がどういったものが好みなのかぜひ知りたいです。あとちょっと試したいこともあったのでよろしくお願いします」


「アイリ様、ぜひ我々騎士団一同、協力させていただきます」


「おほん、ここに集まってもらったのは極秘だ。契約魔法をしてもらう。特にニコラウスはアイリの補佐をしてもらうことになる。もし、拒否しても問題はない。いつも通りの任務に着いてくれれば良い。ただ、アイリの補佐や護衛は契約魔法をした者に頼むことになる。それを踏まえた上で答えを聞かせて欲しい」


「私は、今後もジェイシス様、アイリ様ならびにスタンフォート家に仕えていく所存です。何があろうともお守りいたします」

 ニコラウスが最敬礼をした。


「私、ジューク サージカル ガストンはジェイシス様、アイリ様ならびにスタンフォート家に仕え、命に変えましてもお守りいたします」

 騎士の最敬礼をした。


「では、こちらに何があろうと秘密は守る。外部に漏らさないという契約魔法をして欲しい。


「「はっ!」」

 モンテスキューの契約魔法は私がいないところでしていたが、目の前で行われるとなんだか怖いなぁ。


「よし、それではまず、ジューク、ステータスオープンと言ってくれないか」

 ジェイシス様がニコニコしながらステータスオープンを要求している。


 ジューク騎士団長は戸惑っている。


「すて、すて?なんですか」


「ステータスオープンだ」


「は、はい、ステータスオープン」


「ひやっ、なんだこれは。えっ?ジェイシス様これは?」


「ジュークは出たか。自分の数値と魔法属性をよくみていなさい」

 ジューク騎士団長がマジマジと自分のステータスボードをみていた。えっ?自分のステータス?と言って不思議がっていた。


「それでは、ニコラウス、ステータスオープンだ」


「はっ、ステータスオープン」

 ニコラウスは1発で言い切った。


「うわっ、なんですかこれは?」

 冷静沈着なニコラウスまで大声をあげていた。


「どうだ、自分のステータス値と魔法属性は変化があったか?」


「これは本当に自分のステータスですね。魔力量が5年前に調べたものより大幅に多くなっています」

 騎士団で使っているからステータス値が上がっているのかも。


「私はさほど魔力量は変わりはございませんね。追加というのが新しいものなのですかね。できるものが増えてあるみたいです」


「これはすごいですね。これがわかるようになったのは、アイリ様のおかげということですか?私がアイリ様の補佐をするということは、色々と知り得てはいけないものがあるということでしょうか?」


「そういうことだ。今、モンテスキュー侯爵家と一緒に開発しているものや、今後開発するものがある。ニコラウスそれと王都のファーガソンを中心に采配を頼むことになる」


「御意」

 御意ですか?あの御意。病院ではないが御意。ジェイシス様を中心に左右に執事、その横に騎士団長ご連なって視察か?


「ジューク、これからアイリが外に出て、領地内を見ると思う。警護を頼むぞ。フラフラと見て回るだろうから、目を離さずに頼む」


「はっ!」


 ?聞き捨てならないことを言ったような?フラフラ?


「ジェイシス様、私、フラフラと見て回らないですよ?」


「いや、目に付いた物のところにすぐ行ってしまうではないか」


「あー、そうですね?」


「ということで、警護を頼むぞ」


「はっ、フットワークの軽い者を付かせます。ところで、このステータスは他の者にも開示させるのですか」


「騎士団は開示した方がいいとは思っているが、我々上層部が管理を行う。騎士団同士の開示は禁止だ。混乱を招く。これは契約魔法に追加する。討伐の時に役立つであろう」


「はっ!」


「アイリ、あとは何か騎士団に頼むことがあるのか?ちょっと試したいことと言っていたのは何があるのだ?」


「へ?あ、いつものキャンプ用品の使い勝手や食で魔力回復や治癒が可能かどうか調べたいかなぁと思ったの。ステータスが自分でみられれば魔力がどれだけ減っていて、状態異常とかわかるかなぁと。そこから食を使ってどれだけ回復したかを調べたいなぁと思ったの」


「??アイリ、言う前に報告してくれ。今のはうっかりぽろっとだよ。」


「えっ!聞かなかったことにしてください」


「あははは、ジェイシス様も振り回されているのですね。あははは」

 豪快に笑う騎士団長ジューク。


「こういうことだから、お前たち気を引き締めて補佐と護衛を頼む」


 そんなにうっかりポロっとはないはず。



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