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第124話 領地周遊

 体の調子も回復し、領地を見て周りたいことをお願いした。ずっと部屋に籠りっきりでは嫌だとはっきり言い、ジェイシス様の領土を見たいとお願いした。


「アイリがそんなに領地を見たいというなら連れて行くよ。私が生まれ育った領地を見て欲しい。それから、ジェイシス様ではないだろう?」


「ジ、ジェイ。外に行けるのですね。公爵領がどんなところか楽しみです」


 公爵家の馬車もカスタマイズしているわね。揺れがない。お兄様の商会を通して、ドリガン親方と直接話し合っているらしい。どんな内装が良いかや揺れに対する抵抗をいかに少なくするかなど話し合っていたらしい。


 しかしジェイシス様の慧眼というかなんという洞察力なのか、ドリガン親方の工房で目についてしまったものがある。奥に魔道車と魔道バイクがあることに気づいてしまったジェイシス様。


「今、あれは何を作っているのだ?全く見たこともないが馬車か?」


 ドリガン親方は慌てふためいたらしい。


「いや、あれはその嬢ちゃんに、そう。アイリ嬢ちゃんやアレクセイ殿に聞いてくれ。ワシからはなんも言えねー」


「この前は自転車を作っていたが、それとは全くちがうな。それではアレクセイ殿に聞いてみよう」


 あの時は焦った。お兄さまと私もそんなすぐにドリガン親方が着手するとは考えていなかったので、構想だけ伝えていただけだった。まさか、ドリガン親方の探究心に火がつき、着々と作っていて驚かせようとしていたらしい。


「アレクセイ殿、アイリ、また何かとんでもないものを作っているのではないか?今日、ドリガン親方のところに行ってきたのだが、何やらすごいものの一部を見た。あれは何を作っているのだ?」


「あ、あれはですね、その、我が領地にいらっしゃる時にお見せしようとした水上バイクを作ったのですが、それの陸地用を作ろうと話はしていたのですが、すでに着手していたのには驚きです。その、自転車の自動操縦判と馬車の馬がない馬車?みたいなものです」


「はぁ、これもアイリが考えたものか?」


「私が考えたのではなく、前世にあったもの?かしら。便利ですよ」


「作ったとしてもまだ表に出さないように。アイリ、他に考えているものはあるのか?」


 ひぇー、不穏な雰囲気だ。もう一つ考えているのは機関車だ。一気に人や物を運べる機関車、産業革命で必須アイテム。


「えーと、機関車かなぁー」


「「きかんしゃ?」」

 お兄さまとジェイシス様の声がハモる。


「絵を描くと、こんな感じで、原動力が蒸気や魔石でもいいのよ、レールの上を機関車が人や物を運ぶの。これはあくまで構想だから、実現しなくてもいいのよ。こういうので、一気に物が運べれば、商売になるのと人が運べれば旅行に行けると思ったのよ」


 2人とも驚いた顔をしているね。そして頭を抱えた2人。そういうものがあるよとだけ教えておく。


「すごい乗り物だな。これがあったら、今まで何ヶ月かかって運搬していたものが、時間を短縮して届くことができるというものか。この構想はすぐには無理だろうがいずれ実現させたいな」

 いやー、実現しなくてもいいのでは。


 と、王都でそんなこんなの出来事がありました。快適な馬車で移動です。


 今は大麦と小麦の刈り入れが始まるのかぁ。あれは、あれはブドウ??


「そういえば、アイリ、モンテスキューの領地に美味しいお酒があるよね。あれをまた・」


 私は興奮して被せるように聞いてしまった。

「ジェイ、ジェイ。あれは、あのブトウ?収穫しないの?」


「あれは、小粒で甘いのだが皮に渋みがあったり、あっさりしていたり野生で生えているので誰も食べたがらない。だから放置されている。もちろん食べるために持って行く者もいるが、売れないので、自分の家で食べるぐらいだな」


「あそこに行きたい。あのブドウのところ、早く行こう」

 まだ美味しいワインにありつけていない。ショーチューやウイスキーは作ったわ。今も領地で増殖中。でも、ワインがない。そうなぜワインがないの?ゆくゆくはブドウを栽培してワインを作りたいとは思っていたが、あるじゃないの、ここに。肥沃な大地に、こんなにも放置されている。もったいない。もったいないお化けが出るわよ。


「ジェイ、ジェイ、これでワイン作りましょう」


「わいん?それは何?」


「ワインはブドウのお酒よ。私は白ワインが好きなの。でもこのブドウで作れるのは赤ワインね。ウイスキーやショーチューが蒸留酒ならワインは醸造酒、米があれば日本酒が作れるのよ。あっちで蒸留酒なら、こっちで醸造酒。でも、ドリガン親方たちは、お酒の強さならウイスキーやショーチューが好きだろうなぁ。ワインは貴族向けのお上品なお酒って感じかしら。ドリガン親方たちに醸造発酵タンクをつくってもらわないと、あと樽だわ、これはウイスキーの時と同じ。魔鳥をドリガン親方のところにさっそく飛ばした。いつものようにこういうの作ってと。タンク、圧搾、ホース、濾過装置、樽。楽しみだなぁ。


 とりあえず、ブドウをわたしの収納の中に全部入れておいた。


「アイリの生活魔法の収納は便利だな。マジックバッグもいっぱい持っているよね。いつもは不思議に思っていたのだよ。アイリは前世の記憶を持っているから、色々と知識があるのかと思っていたのだが、他にもある?」

 ?そういえば、悪用されてしまうからスキルのことは他人に言わないことになっているが、夫婦や家族などで本当に信用がおける人には言っても問題ないのよね。


「ジェイに私のスキルとかは話していないわね」


「私もアイリには伝えていないからお互い様だが、もう、夫婦なのだからお互いのスキルを伝えて合ってもいいのではないかな。今は周りに人がいるから、今晩話し合おう」


「そうね、じゃぁ、今夜ね」


 ここは本当に豊かな土地だなぁ。


 モンテスキュー領地と比べてしまう。土壌改良をし、やっと軌道にのってきた。今後も継続してより良い土地にしていく。温室を作ってハウス栽培のようなものをしたり、気候に合わせた食物を栽培したり、特にお酒の方に力を入れているわよね。私の考えと違うのだけど。今も工夫を凝らし、活路を見出している。


 この大地と比べてしまうと、まだまだ足りないことが多い。よし、頑張るぞ。






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