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第12話 ドレスのデザインを考えよう

 毎朝の散歩、魔力操作は欠かさず行っていたおかげで、だいぶ体の肉が落ちてきた。乗馬服はゆとりが出てきた。


 前世のことを告白してから、家族との関係は劇的に改善された。特に兄とはよく喋るようになった。


 そして、弟たち、カイルとレオンとの関係も改善した。最近は、ねえしゃま、ねえしゃまと近づいてきてくれる。ほんとに可愛い子たちなの。ほんとにほんとに可愛い子達なのよー。力説。


 前世、忙しい両親の代わりに弟妹の面倒を見ていた。そして妹の子供、姪っ子甥っ子と一緒に遊んでいた。小さい子供には、お絵描き、ピアノでお歌、手遊び、そして鬼ごっこよ。私の体もだいぶ肉が取れ、動けるようになったので、3歳児の弟たちよりは体力はあるはず。鬼ごっこでは、キャーキャー逃げ惑う弟たちを変顔しながら追いかけたわよ。みんなで笑い合った。家族が仲良くなったのは、嬉しい。笑顔があるのが一番。でも前世のことを思い出すと切なくなる。みんな元気かなぁ。こっちの家族と仲良くなってきたよ。こっちで頑張るからね。


 朝食が終わり、お母さまに呼ばれた。


「アイリちゃん、会って欲しい人がいるの。私の学生時代の友達で、この前言っていたちょっと変わった知り合いのデザイナー。どうかしら。」


「お母さま、いつでも大丈夫です」


「それでは、明日会って欲しいの。そして、今までアイリちゃんがリメイクしたドレスやワンピースや小物類をその時見せて欲しいの。いいかしら」


「お母さま、もちろんです。楽しみです」


 翌日、お母様に呼ばれた。紹介したいというお友達に会う日だ。

「お母さま、お呼びですか」


「今日のドレスも可愛いわね。紹介するわね、こちらは、わたしの友人のテオドール、テッシーと呼んであげてね」


 テオドールじゃなくてテッシーと呼んでいいのかしら。でも、イケメンだなぁ、と考えていたら


「あなたがアイリちゃん、まぁ、かわいらしいわ。わたしのことはテッシーって呼んでね」


 語尾にハートマークがついているね。前世でいうオネエさま。体は男性、心は女性。やはりこういう業界にはいるよねー。


「アイリちゃん、あなたのデザイン画をわたしに売って欲しいの、もしくはあなたがイメージしたデザインを教えて欲しいの。わたしっ、作ってみたいわ。」


  私には生活魔法の裁縫があるが、自分が作るのも大変だし、なんとなくのイメージ画を出せばもっといいものを描いてくれそうだから、この話のったー、ということで

「お願いします、テッシーさん」


「アイリちゃん、いいの⁈ありがとうございますぅ」


 3人で、洋服談義に入った。その前に、お母さまとテッシーさんの学生時代の話を聞いた。

 テッシーさんは小さい頃から、男性という性別に違和感を感じていた。トランスジェンダーだったのだ。前世でも、やっとジェンダーの見方が変わって、受け入れられるようになった方だが、この世界では、どうなのだろう。男性主義的なところもあるから、女性でも生きにくいのに、ジェンダーはもっと生きにくいだろうな。まして、男性として生きていかないといけないのだから。

 テッシーさんは男性の世界では溶け込めず生きにくい生活で、女の子と話したり遊んだりした方が楽しかったという。だんだん孤立していった時に、お母さまとお母さまの仲の良い友達が、テッシーさんと話をし、意気投合したらしい。そこから、友達になり、悩みを相談し合ったということだ。

 

 それから、リメイクした私のドレスを見せ、今後どのようなドレスにしたいかなど話をしていくと、テッシーさんはさらさらとデザインを描いていった。テッシーさんの溢れ出るイメージ。私が一つ提言するとそれ以上のものを描き出す。すごいなぁ、テッシーさん。デザイナーというのはこういうものなのかな。かわいいドレスから妖艶なドレスまで、デザイン画が積み上がった。まだこれは完成画ではなく、さらにこれを元にデザイン画を仕上げるということだ。

お母さまとテッシーさんのおしゃれに対する情熱はすごいな。女子だ。女子力がハンパない。と、他人事だった。私は実用性を重視してしまう。


 私は、今、作って欲しいガウチョパンツとトレーニングウェアの絵を渡した。トレーニングウェアは、自分用に、だ。利益などまったく考えず。そしてガウチョパンツは目の前のオネエさま用と私用。テッシーさん、見た目、イケメン男性、ガウチョのようにズボンのようなスカートのような中性的な方が良いと思う。私はガウチョのようなものが動きやすいから好きだった。

 上着はブレザーのようなものから、カジュアルなシャツもお願いした。ワンピースが多いため、セパレートにして、色々な着こなしを提言した。


 テッシーさんの創造意欲を掻き立て、テッシーさんの描く手が止まらない。まだまだ話が尽きないため、一旦お茶にした。


「でも、アイリちゃん、すごいわ。こんな斬新なデザインを思いつくなんて、一体どこから知識を得たのかしら。」


 前世の知識だから、言えない。


「なんとなく、こうだったら良いなと思いはしたけど、自分ではなかなか動けなかったので、テッシーさんと出会えてよかったです。私が伝えたいことを、テッシーさんがデザイン画として描いて形にしていく。テッシーさんすごいです」


「そうなのよ、アイリちゃん。テッシーは昔からよくワンピースやドレス画を描いていたの。そしてアイリちゃんの思い描くデザインとテッシーの思うデザインが重なれば、良いデザインができると思っていたのよ。今日、二人のやり取りやデザイン画を見て確信に変わったわ。本当にすごいデザインよ。これは、早く、作ったドレスを着たいわ」


「フルーラ、このデザインはまだまだよ。これから試行錯誤し、作り上げていくわ」


 テッシーさんの背景にはメラメラと炎が見えるようだ。


 アラビアンコスチュームはこの世界では出せない代物かな。忘年会の催しで、あれ着て、セクシービームと叫んで踊って歌ったなぁ。ちょくちょく前世の記憶を出してすいません。おへそあたりは出せないけど、それに近いものを作れば妖艶な感じで良いのではないか?でも、まだ、だめかな。異端者と思われても困るからね。


 テッシーさんをうちのドレス部門、ルミエールの専属デザイナーに抜擢した。もし、独自のお店を開きたいならそれでも良いと思う。今はドレス部門ルミエールとテッシーさんの地盤作りをしていこう。


 私はおしゃれに無縁だったが、知識はあるので、髪飾りや靴なども色々と助言した。見事テッシーさんは助言以上のデザインを作り出していた。

 

 テッシーさんとお母さまはまだまだ先の私のデビュタントのドレスを作るのにやる気満々である。私は出たくない。気が重い。その後、学園に通う。アイリ、友達いないし、マイナスから始まるものは本当に気が重い。全て、マイナスイメージなのよね。それになんと言っても前世年齢41。うーん、学園に入って、16歳の子たちと話が合うのかしら。行かなくてもよいかな。



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