第101話 女狐侯爵夫人の断罪
ジェイシス様と挨拶回りをし、イーサン様とマーガレット様のところに戻った。
「さっきの声を荒げていたのは、サイエンス侯爵のところか、ジェイシス」
「父上、そうです。挨拶の対応をしていたのですが、アイリに母上が学園の同級生で、田舎出身でマナーがなっていないから教えていた、そして自分にはたくさんの友達がいるからいろいろ助けてあげられるから頼ってねという意味合いで話をしていた。そして自分の娘をアイリの友達にすると言っていたが、私の方に向かって娘が自己紹介していた。何度も何度も紹介されていたが無視しているのになぜわからない、あの親子は。先ほどアイリが的確な言葉を教えてくれたのですよ。この母にしてこの子ありって。まさにあの親子のことのための言葉ですね」
「なるほどな。あの女は私に対してもしつこく言い寄っていたからな。あの娘も同じことをするのではないか。しかし今日であの者たちに制裁を与えてやりたい。二度と社交界で幅を利かせないために。何度、妻に嫌がらせをするのはやめてくれと言ったが躱され、逆にまたマーガレットに対して執拗な陰湿な嫌がらせをするという最悪な結果になっている、腹が立つ。あの女」
「あなた、ジェイシス」
イーサン様はマーガレット様の肩を抱き寄せていた。
「それでは、マーガレット様、イーサン様やジェイシス様が仕事仲間に挨拶に行った時に、お花摘みの方向は行って、1人になってください。そこにあの人たちが待ち構えているかどうかですが」
「多分いると思うわ。いつもだから」
わかりやすい人たちだ。
さてと、準備は整った。あとはマーガレット様のところにいつも通りくることを願おう。
しばらくすると、いつもの女狐侯爵夫人とその取り巻きたちがマーガレット様を壁に追いやり取り囲む。
さあ、映像と音声をこの広間に転写させた。みんなザワザワしている。このことはイーサン様から国王陛下へは事前に提言済み。
「マーガレット様、いつになったらイーサン様に私を愛妾にするように提言してくれるのかしら。番のあなたから言えば、イーサン様も断れないでしょう。あなたはいつもいつも目障りなのよ。あなたは田舎者だからわからないでしょうが、私はイーサン様を小さい頃よりずっと愛していたのよ。それなのに、あなたが番を発現して私からイーサン様を奪ったのよ。いい加減、その座から降りなさい。あっ、そうそう、あなたの嫁となるとあの子なんて言ったかしら。モンテスキュー侯爵令嬢、あの子はふふっ、私の虜になるわよ。あの子にいろいろ教えてあげて、あの子にもジェイシス様に愛妾を、私の娘のローダリアンを娶るように進言しようと思っているのよ。ローダリアンがジェイシス様の子を産めば、ふふっ、私は公爵の地位も思うままになるのよ。あははは。いつも言っているけど、学園の時からあなたはグズで役立たずだったわね。そう思わない?ペネローク伯爵夫人、ナロアラ伯爵夫人、ドローズ男爵夫人」
「ほんとにどれほどサイエンス侯爵夫人が心を痛めているのか、あなたにわかるの?本当に使えない人よね」
「ふふふっ、ありがとう、皆さん。ジェイシス様の愛妾の件、あなたにもお願いしておこうかしらね。私のかわいい娘ローダリアンのことをよろしくお願いするわ」
映像から酷い言葉が発せられている。この人の脳内はお花畑なのだろうか。
マーガレット様には映像と音声が流れていることはイヤモニから伝えてある。
ジェイシス様が私のところにきた。
「聞くに耐えないことを言っているな。頼まれたからって愛妾を持つほど、我々龍人の血を引く者を軽視しているのか?サイエンス侯爵、貴殿の奥方は恐ろしい考えをお持ちだな。スタンフォート公爵家を乗っ取ろうとしていたのか?貴殿も加担しているのか?国家転覆を狙っているに等しいな」
「め、滅相も、滅相もございません。あの女とは離縁いたします。あんな恐ろしい考えを持っているとは私は知りませんでした。申し訳ございません」
映像ではまだ続いていた。
「いい加減、あなたのその性根を正してあげないとね。服の上ならわからないでしょうからね、ふふふ」
扇子を振りかぶっている。
「やめないか!貴様ら何をしている!」
イーサン様が間に合ってくれた。よかった。
マーガレット様を守るように抱きしめ、邪悪の根源の侯爵夫人を睨みつけた。
「イーサン様、今マーガレット様が私のことを侮辱しましてよ。ねえ、みなさん。マーガレット様は私に対して娘教育がなってないと言うのですよ。先ほどジェイシス様に対して、お会いできて嬉しさで舞い上がってしまって、軽口を言ってしまった娘だったのですが、マーガレット様はそれはもうお怒りでしたのよ。恐いですわ」
「そうか、行こう、マーガレット」
冷え冷えとした目で睨みつけて、立ち去ろうとした。
「イーサン様、今度マーガレット様とジェイシス様の番様のモンテスキュー侯爵令嬢をお茶会にお誘いしたいのですが、いかがでしょうか?」
「なぜ行かないといけないのか?そして、お茶会に呼べる家はあるのか?まぁ、家があったら考えなくもないが、行く必要もない。失礼する」
「マーガレット、恐かっただろう。すまなかったな」マーガレット様を抱きしめて、キスの嵐ですが、えーと、イーサン様映像写っておりますがー。
イヤモニで映像写ってますと伝えたら、映像越しでも顔が赤くなっているのが確認された。こちらの会場でも目を逸らす人多数。
愛し合っていることはいいことだが目のやり場に困る。
さぁ、もうそろそろあの人たち帰ってくるかしら。サイエンス侯爵はどうするのだろう。
会場がシーンとしている中、サイエンス侯爵夫人他3名が戻ってきた。
「まぁ、みなさん、いかがされましたのかしら。ロワイル伯爵夫人様、今夜あのお話が聞けると思い楽しみにしていましたのよ」
その何ちゃら伯爵夫人は、そそくさと離れていった。
「??ザーネル子爵夫人様、ごきげんよう、今回とっておきの話を持ってきましたのよ」
みんなサイエンス侯爵夫人他3名から離れていった。
そこはサイエンス侯爵が夫人を殴り罵倒した。
「お前は、お前はなんていうことをしでかした。お前とは離婚だ!すぐ屋敷から出ていけ!もう今から帰ってくるな。わかったな。噂に出ていたが、お前の言葉を鵜呑みにしてしまっていたがお前というやつは、お前というやつは、なんていうことをしでかしたのだ!」
「私が何をしたというのですか?貴女こそ暴力男ではないですか!」
向こうのほうでもその他3名が離縁を言い渡され、泣いていた。
向こうのほうでは侯爵夫人には逆らえなかったのよと泣きながら訴えている伯爵夫人の姿があった。
「鎮まれ!」
国王陛下が会場の混乱を沈めようと動き出した。
「サイエンス侯爵夫人よ。そなた達は自分の過ちがわからないのか?」
「こ、国王陛下。助けてください。私は何も悪いことはしておりません。一方的にこの人に暴力を振るわれているのです」
「はぁ、映像を再生することはできるのか?」
そして先ほどの場面が、再生される。サイエンス侯爵夫人他3人は床に座り込んでしまった。
「いやー、止めて、こんなの嘘よ。こんなの嘘よ。やめて、止めて」
「君らが影で行っていたことが白日のもとに晒された。言い逃れがあるか?公爵家の乗っ取りを考えてあったのであろう?今後のことはサイエンス侯爵と話をするように。そして公爵家の乗っ取りや龍人の愛妾になるなどと思い上がるな!我々龍人の血を引くものは番が最愛だ。龍人の番に対する思いを踏み躙られた行為は決して許すまじ。そなたらに言うことはそれだけだ。以上だ」
「お許しを、お許しを。国王陛下」
すごい夜会になってしまった。まずい、私が考え出した映像放映会。
「ジェイシス様、これでよかったのでしょうかね?」
「いいのではないか!母上に何十年と精神的苦痛を与えていた奴らだ。もっと苦しめばいいと思う。だから全く気にするな。むしろよくやった」
頭を撫でられている。被害者が良ければいいか。気にしないでおこう。
「これからが大変だぞ。この映像機器と録音機器の使い道が多岐にわたる」
「これはもう封印でいいのではないですか?」
「うーん、国王陛下が映像を食い入るようにみていたから、興味がおありだろう。この後。説明を求められると思うよ」
「ジェイシス様、帰りませんか?」
「多分無理だと思う。夜会が終わったら、王宮のプライベートルームに案内されると思うよ」
帰りたい。




