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第99話 夜会のための魔道具作り

 夜会まで、体のメンテナンスは必須。全身くまなくグイグイと肉が押し上げられる。


「アイリ様、目の下にクマができておりますが、眠れないのでしょうか?もしくはジェイシス様がいらっしゃっているのですか?奥様に報告しなければ」


「違うのです。ジェイシス様は夜は来ていません。やることがあって、夢中になっていたら、すみません、朝になっておりました」


「えっ⁉︎夢中になっていたら朝?ですか?」

 まずい、まずい、バレてしまう。


「アイリ様、えーと、ジェイシス様と奥様や旦那様に報告させていただきます。アイリ様もうっかり朝になっていたというタイプですか!なるほど。よくわかりました」

 も、ということは誰か同じタイプがいる、ジェイシス様かしら?


 エステの間中爆睡しました。気持ちよかった。


 部屋に通されたら、皆さんがいらっしゃる。


「アイリちゃん、あなた、朝まで夢中になって寝ていないと聞いたのですが、間違えありませんこと?」

 これはすでに話がお耳に入っていらっしゃるかんじですね。


「は、はい、すみません。気がついたら朝でした」


「ほら、母上、やはり私が近くにいないとダメではないですか?」


「ジェイシス、あなたが一緒にいても寝不足は同じことです!それで、アイリちゃん、何をして朝まで起きていたのかしら。夜会前は寝不足はお肌に悪いのよ。だからジェイシスも接触禁止令を出しているのに、なぜかしらね」

 マーガレット様の圧が強い。


「まぁまぁ、マーガレット、そんなにアイリちゃんを責め立ててもしょうがないだろう。でも、アイリちゃんも女性は美容に十分気をつけているのだから、朝まで起きているのはよくないと思うぞ。で、何していたのだい?」


「すみません、ちょっと待っていてください」

 私は部屋に戻り、ビデオもどき、ICレコーダーもどき、スピーカーもどき、イヤモニもどきを持ってきた。


「あの、極力信頼できる人で説明したいのですが」

 執事のファーガソン以外人払いをしてくれた。


「これは今回夜会で使用する魔道具です。これは映像を残す魔道具です。マーガレット様を撮りますね。少し喋ってください」


「えっ、何?喋るの?」

 撮った映像を見せた。

「「「!!!!何だ、これは!」」」


「次、これは喋ったことを録音するものです。イーサン様喋ってください」

 喋ってもらい、再生して言葉だけ流れた。

 イヤモニは、隣の部屋にジェイシス様に言ってもらい、こちらの会話を聞いてもらった。

 そしてスピーカー、これはまだ試行錯誤している状態なので、お兄さまに相談しようとしていることを伝えた。昨日思いついたばかりで、試行錯誤して作っていたら、楽しくて朝になってしまったことを伝えた。


「はぁ、何というか、君の父上のステファンの気持ちがわかるようだ。ステファンも君が前世の記憶を思い出してから、かなり忙しいからな。私も君の父親として、しっかりしないといけないと改めて思ったよ。本当に次から次へと考えることがすごいな。この魔道具はすごい。マーガレットが動いている映像なんて、いっぱい撮りたいな。本物には勝てないがずっとみていられるではないか。これはいいな。マーガレットのためにこれほどまで考えてくれるなんて。ジェイシス、うちの魔道具職人も優秀だ。アレクセイ殿が来たら、うちの魔道具職人も交えてもらえないか?もちろん強力な契約魔法はする。アイリちゃん、いや、アイリ嬢頼む」

 頭を下げられてしまった。途中、怪しい言葉を発したようなの気がしたがそこはスルーしよう。


「こちらこそ、いつもすみません。兄が来たら早速、完成できるように頑張りたいと思います。ダメでも、映像は残せるので、あっ、それを見せることができるスクリーンも作れればいいなぁ」


「アイリ、また新たな魔道具を考えたのかい?」

 ジェイシス様がしょうがないなぁみたいな目で見つめてきた。すみません、みなさん。


 お兄さまは、すぐ来てくれた。いつも優先的に対応してくれるので、申し訳ないと思っている。


 みんなで出迎えた。

「アレクセイ殿、急ぎ来てもらってすまない」

 ジェイシス様がお兄さまに詫びを入れた。


「いえ、妹がお世話になっております。今度は魔道具を至急作りたいと連絡が来ましたが、また、アイリが何か考えついたことでしょうか?」

 ひどいぞ、お兄さま。私がまるで問題児のようではないか!


「ふふっ、そうだね。中へ入ってあらかたの話をしよう。そして協力をお願いしたい」


 中に入り、夜会でのことを話、以前作ったビデオ、ICレコーダーがこのために使われるのかと、初めて知った。


「アイリ、この前の映像を録画する魔道具と声を録音する魔道具はこれのためか。イヤモニは初めて見るがアイリが作ったのか?そしてスピーカー?という音を流す魔道具か。スタンフォート公爵家お抱え魔道具職人が一緒に考え作っていただけるということですね。かしこまりました。公爵様、私も一緒に作ります」


「アレクセイ殿、公爵様と呼ばずジェイシスと呼んで欲しいな。家族になるわけだから公爵呼びは嫌だな」


「あっ、はい、ジェイシス様」


「うーん、立ち位置が複雑だよな。妹の夫は義弟となるわけだが、私は歳がだいぶ上だし、弟が欲しかったから、ジェイシス兄さんでもいいな。それがいい。ジェイシス兄さんで頼むよ。ロベルトもそう呼んでいるから、ジェイシス兄様か」

 上機嫌だった。弟が欲しかったのか。


「で、ではジェイシス義兄様、よろしくお願いします」


「あら私たちにも息子が増えたみたいね。嬉しいわ」

「そうかそうか息子が増えたか。いいな、それは」


「旦那様方、話が外れておりますが魔道具職人もお呼びしてよろしいでしょうか?」


「そうだな、頼む」


 それからお兄さま、魔道具職人を交えて今回作成したい魔道具を伝えた。その前に、映像と録音の魔道具とイヤモニを披露した。


「これはすごいですね、アレクセイ様がお作りになったのですか?このような映像を残せるなんてすごいです」

 魔道具職人からの賞賛の嵐。ふふん、お兄さまとお父さまはすごいのよ。何でも作ってくれるのだから。


「お兄さま、魔石と魔石の間に流れる力を振動できないかしら。振動で音が伝わると思ったのよ」


「は?アイリ?振動で音が流れる?のか。やってみよう」


「我々も手伝います。我々の魔道具室に材料、素材が沢山あります。公爵様、そちらにお連れしてよろしいでしょうか」

 あらま、お兄さまと職人たちはもう仲良くなってしまったのかしら。


「あっ、お兄さま、これ私が錬金で作った素材。伝導に強い素材になったと思うのよ。一応渡しておくわね」


「アイリ、そのイヤモニ?というものも一つ分解してもいいか?どんなものか知りたい」


「お兄さま、映像機や録音機の音を拾うのよ。はじめに映像機とイヤモニを連動させて、対にさせて使うのよ」


「アイリ、なぜ家でそれらを作らないのだ。勝手に1人で作るなど父上から言われているだろう」


「あー、ごめんなさい。急ぎ、思い立ったが吉日とばかり作ってしまった。ごめんなさい」


「はぁ、ジェイシス義兄様、こんな妹ですが、手綱はきちんと握っていてください。暴走するので」


「あははは、仲が良い兄妹だな。しかし今までのアレクセイの苦労が目に見えるようだよ」

 ジェイシス様がお腹を抱えて笑っているわよ。解せぬ。


 それからお兄さまと魔道具職人たちは、ずっと部屋に籠りスピーカーを作っていた。念の為スクリーンの原理も伝えておいた。がんばれ、お兄さまと仲間たち。


 これで私は夜会の準備に専念できる。お兄さまが夜会で目の下にクマを作っていたら、あっ、ルーのパートナーだった。ポーションを作ろう。元気溌剌のやつだ。モンスターなんちゃらがいいよね。よし、それはルーのためにも作って飲ませよう。目の下にクマがあるパートナーなんていやよね。お兄さまのイケメン度数が減るもしくは憂があっていいのかしら。クフフっ。


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