第93話 ジェイシス様と久しぶりに会う
入学式から始まり、コーヒー、チョコ作りが軌道に乗ろうとしている。お父さまとお兄さまには本当は頭が上がらない。こういうものが欲しい。絵とどういった製品にするかを事細かく教えると、それ以上の精巧なものを作り出す。
今度の夜会のドレスができたので試着にきて欲しいと手紙に書いてあったので、そうだ、ついでにジェイシス様にコーヒーとチョコを渡そう。まだ、試作段階ということを理解してもらって飲んでもらおう。
サイフォン型とペーパードリップタイプ両方試してもらおう。チョコはナッツ入りと、チョコフォンデュができるような道具を持っていこう。
そして、ジェイシス様のお宅訪問です。
馬車がお迎えに来ました。もちろんジェイシス様同乗。
「お久しぶりです。ジェイシス様。お迎えに来ていただきありがとうございます」
「会いたかったよ。アイリ。さあ、早く馬車に」
エスコートされ、馬車の中に入った途端抱きしめられた。
「本当に会いたかった。会えない時間が長すぎる」
強く抱きしめられ、口づけを落とされる。一気に馬車内が熱を帯びる。
額、頬、耳、首筋あらゆるところに口づけされる。そしてまた、口づけが落とされた。
「あぁ、学園に入ってから会う時間が少なくなってしまった。学園に私の屋敷から通わないか?週末あたりからでもいい、私のところに来て欲しい。ダメかな?」
こんな甘々な雰囲気が毎回あると身がもたない。
「あ、あの、今新たな試みをしているので、それが軌道にのったらどうかなぁと思っているのですが、今日、ジェイシス様に持ってきたのです。感想を聞かせて欲しいです」
ジェイシス様の膝の上、横抱きにされて会話をする。
「また新たなものを作ったのか?アイリはいつも何かしら新たなものを考えつくね。それが前世の記憶なのかい?」
「そうです。今回、ザッカリー商会が輸入したもので、私がずっと欲しかったものなのです。好みは人それぞれなので感想をお聞かせください」
「そうなのか。アイリは一生懸命なのはわかっているが私との時間もとって欲しいな。はぁ、もう着いてしまったか。髪の毛は乱れていないから安心して」
また、軽い口づけをした。
「もう、口紅が取れてしまいました。ジェイシス様の口に口紅がついているので拭いてください」
私 はハンカチでジェイシスの口を拭いた。また、口づけを落とされた。
「もう、ダメです。もう着きましたので、ダメです」
「そうか、残念だな」
もう油断も隙もない。
玄関先には、イーサン様とマーガレット様がニコニコしながら待っていた。恥ずかしい。何していたかわかっているような、そんな雰囲気だった。
「アイリちゃん、ようこそ。素敵なドレスが出来たのよ。アイリちゃんが試着するの楽しみだわ」
「マーガレット様、ありがとうございます。今日はお土産を持ってまいりました。先に説明させていただいてもよろしいでしょうか?
「あら、ジェイシスはアイリちゃんが忙しいから会えないと言っていたけど、新しいものを作り出したのかしら?」
「あははは、すみません。色々と作っていたので本当にすみませんでした」
「フフフッ、いつも冷静沈着なジェイシスの焦っている姿を見られたからいいわよ。新しく作ったものなの?楽しみだわ。では、先に見せていただける?」
「はい」
「母上、アイリ、ふぅ、では新しく作ったというものを見せてもらいましょうか。さぁ、エスコートさせていただきますよ」
ジェイシス様に手を差し出され、エスコートされた。
それから、執事ファーガソンと侍女長 メリンダに使い方を教えた。特にファーガソンが興味を示したので、きっと美味しいコーヒーを淹れてくれるだろう。
メリンダはチョコフォンデュに興味津々。やり方と溶けたチョコをかけても美味しいことを教えた。おやつに何が出るかしら楽しみ。料理長へはレシピ集を渡した。喜んでくれるといいな。
夜会のドレスも試着。ジェイシス様の色です。そうなりますよね。
「アイリちゃん、数日前からこちらの公爵邸に泊まりにきてね。準備があるので泊まりにきてね」
「準備ですか?」
「そうよ、体を磨かなくてはね。準備は怠ってはいけないわよ」
「身体を磨くのは大丈夫ではないですか?」
「アイリちゃん、何を言っているの?数日前から、体磨きは大事よ。2週間前からこちらに来てもいいわね」
マーガレット様の圧がすごい。はいとしか言えない。
「マーガレット様、2週間前は早すぎるので3日前ぐらいは」
「アイリちゃん、前から磨かないどダメなのよ。ここから学園に行けば大丈夫よ」
話を遮られ、有無を言わせぬ圧でした。
断りきれず2週間前からこちらへ滞在となりました。
「アイリ、こちらから学園に行くのだね。朝、送っていけるから嬉しい。帰りはなるべく早く仕事を切り上げてきます」
あれよあれよという間に決まってしまった。
お茶の時間、コーヒーの試飲。ファーガソンの入れるコーヒーは美味しい。もう習得している。これが出来る執事。
「これは、はじめ苦いと感じたがクセになるな。苦味が強い方がいいな」
ジェイシス様もお父さま、お兄さまと同じ深煎り。イーサン様は浅煎り。
マーガレット様は紅茶派だった。女性は紅茶の方が好きよね。
「アイリちゃん、このチョコというの?美味しいわ。太りやすいと聞いてはいるけど、美味しくてついつい食べてしまうわ。このチョコをクッキーに入れたり、ケーキにしたりするのね。デザートのレパートリーが増えるのね。まだ、大量生産できないの?」
「また、そこまでは量産しないです」
「すごく貴重な食べ物になるわね」
マーガレット様はチョコにハマってしまったらしい。
イーサン様はコーヒーについて色々質問してきた。
「これは、君たちの商会で売り出すのかい?」
「そうですね」
ザッカリー商会から卸しているとは言わない。すみません、これは商売なので言えません。
「これはいい。レストランなどに下さないのか?」
「まだ量産できないので、そこまでは考えていないです」
イーサン様も商売に長けた人だ。どう考えているのだろう。でも、今はまだ何も言わない。向こうもこれ以上聞かないだろう。
こうして、ジェイシス様のご両親とのお茶会は終わった。が、ジェイシス様と私の部屋について話をするため、ジェイシス様の部屋に行った。2人きり?




