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11話

 昨日と同じく早めに教室に着いたので人もまばら。ヨースケも今朝はまだ来ていない。


「一番手っ取り早いのは須藤某があの女をしっかりと掴まえてくれることなんだけどな」


「須藤ダイスケ、ね。でもミナミはそいつのこと遊びだって言ったんでしょ?」


「んーん。その某の方は未練持ってそうなんだけどな。俺が見たときのデレデレっぷりだとさ。あれで一発ヤったから満足って言うのもなぁ」


「一発って。朝から生々しいよ……」


「すまん」


 少なくともあと三〇分ほどであの女も登校してくる。登校したらそのままこっちに来るか、それとも時間を置くのか? 来ないって選択肢もあるか?


「よっ、今日も早いな。ミユキちゃんもおは!」


「おう、来たか。ヨースケ」


「おはよう、ヨースケくん」


「どうしたい? 二人して深刻な顔しちゃって」


「ああ、実は――」


 ヨースケには昨日から今朝までのあの女の言動を伝えた。そして俺らに手がないことも。




「そっかぁ。ミユキちゃんはそいつのこと説得できないの?」


「無理ね。できればわたしだってミナミとは関わり合いにはなりたくないもの」


「え? そいつとはミユキちゃんも幼馴染じゃないの?」


「は? 幼馴染だからって仲がいいとは限らないわよ⁉ はっきり言えば大嫌いですけど?」


 二人は中学の一年生ぐらいまではそれほど仲が悪いって感じはなかったけど、二年生の途中からは絶縁に近かった。


「そうか。じゃぁそっちの線はナシだな。そしたらダイスケのほう、か? どうなんだろうな」


「ヨースケから見てダイスケとあの女はどんな感じなんだ?」


「オレも詳しくはないけど、ダイスケのほうが熱を上げているって感じみたいだぞ」


「それが一縷の望み、か」


「まあいいや。HRまであと一五分だし、そろそろ六組あっちも揃う頃じゃね? パパラッチってくるかな」


 ヨースケはスマホ片手に六組に走っていった。俺たちは六組には近づきたくないからな。助かる。




 HR開始の予鈴が鳴るもヨースケが帰ってこない。どうした?

 廊下の方からも何かしらいつもよりも騒がしい気がする。


「なぁ、六組の方でなんか派手にやらかしているらしいぜ」

「ああ、痴話喧嘩みたいなのだろ?」


「でもよ、あの女の方、須藤じゃなくてカズヒトの彼女じゃね?」

「じゃあ何? 修羅場ってやつなのかよ?」


 クラスメイトが俺のことをチラ見しながらコソコソと話しているのが聞こえてきた。


 なんとなく想像できた。あの女と須藤某が揉めているのだろうな。


 すまんが、俺はもう関係者じゃないんだ。

 もしかして……関係者。なのか? 嫌だな。


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