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変異者  作者: 龍血
第一章 変異者と朝花岳学園
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第六話 生風会

 

 そして、少し日にちが戻り、櫛の暴走したことが解決した後、ある場所にてある生徒達が集まっていた。


「これから生風会を始める」


 その言葉を言うのは生徒会長の浮島(うきしま)直人(なおと)

 そして、その横にいるのは風紀委員長の茜菜那。


 ここにいるのは生徒会と風紀委員会。

 その会議が生風会である。


 通常では普通にそれぞれがそれぞれの仕事をする。

 この生風会は特別な時にしか開かれない会議。


 今回出される議題はもちろん…


「今回の議題は二年生の変異者佐多櫛の暴走についてである。当事件の解決した風紀委員長の茜さんから説明をお願いします」

「はい」


 菜那が呼ばれ、今回の件を説明する。


「今回起きた経緯を一から説明させて頂きます。佐多さんのクラスメイトからの情報によりますと、清掃の時間に佐多さんはゴミを捨てに行くために一人のクラスメイトと一緒にゴミ捨て場に向かったそうです」


 櫛がゴミ捨て場に行った経緯は同じ清掃場所だったクラスメイトに聞いた情報。



「あの場で起きたことは偶然通りかかった生徒により、そこで暴力行為があったとの報告を受け、風紀委員会はその行為を止めるために数人を連れて現場へ向かった」


 実際、ゴミ捨て場はあまり見える場所ではないしわざわざ行くようなところではない。

 それでも誰か一人くらいは見ていてもおかしくはないのが現実だ。


 それにこの報告がなければ、もっと酷いことになっていた可能性もある。


「しかし、到着した時にはもう遅く、しかも倒れていたのは暴力を振るっていた男子生徒でした。そして、佐多さんが暴走していると確信しました」


 本当は男子生徒達の暴力行為を止めるために行ったのではなく、櫛が今回のようなことが起こるのではという懸念しての行動だった。


「風紀委員会は佐多さんを止めるために連携し、力で負けそうになりましたが、何とか薬を飲ませることに成功。解決後はいつも通りのことをしておきました」

「ありがとう」


 菜那が言ういつも通りというのは後処理のこと。

 櫛や男子生徒達を保健室に運ばれ、櫛と男子生徒達は別室に分けさせた。

 さらに現場であるゴミ捨て場を綺麗にすることだ。


「それで気になった点はありますか?」

「あります。今回起こった暴走の第二段階。去年の河州さんのことを覚えていると思いますが、理性がなく言葉を発しない衝動に駆られた豹のような状態になっていた河州さんでした」

「それが暴走の第二段階の基本ですからね」


 暴走の第二段階というのが今回櫛に起こった暴走なのだが、普通はその変異自体になってしまうのが暴走の第二段階という去年の静樹とそれ以前の変異者に起こったものだ。


「しかし、今回の佐多さんに起こった暴走の第二段階は理性があり、言葉も発する。そして、衝動には駆られていなかった」


 その言葉は現場に行かなかった者は「嘘!?」「そんなはずは…」「有り得ない…」と驚いている。


「静粛に」


 直人のその言葉で静かになる。


「それは本当ですか?」

「はい。しかも、口調が変わっていて、別人のようでした」

「なるほど。要観察をしなければなりませんね。引き続き重い仕事にはなりますが、風紀委員会の方々よろしくお願いしますね」

「「「「了解」」」」


 直人の言葉に風紀委員達は返事する。


 風紀委員会の仕事は学内の治安だけでなく、変異者とのコンタクトや鎮圧などをし、変異者に対して直接関わることが多く、負担も多い。


 そのため、風紀委員会には二、三十人くらいいて、ここの生風会はその一部しか参加できない。

 参加できない者は風紀委員会の会議にて連絡がされていて、少し手間になっている。


 直人の言葉は労いの言葉として風紀委員達に言っている。


「風紀委員長、他にはありますか?」

「いえ」

「分かりました。これで生風会を終わりにしたいところでは一つお伝えしたいことがあります」

「お伝えしたいこと?それはどのようなことですか?生徒会長」


 今回の生風会は櫛の暴走が議題となり、それだけ。


 直人が「お願いします」と言うと、男女二人が紙を配る。


「これは?」

「今度転校される変異者のプロフィールです」


 その紙には一人の男性の写真とその人のプロフィールが書かれていた。


「転校される変異者?この時期にですか?」

「この方の変異を見ていただければ分かると思いますが、転校されるには色々と問題がありましてね」


 菜那がその者の変異の説明を見る。


「これは確かに」

「ですが、早めに転校して貰わなければ、それはそれで色々と問題が出てしまうので結構大変でした」

「見つかれば、必ず変異を説明しなければなりません」

「えぇ」


 転校するのに問題があり、そのまま普通の学校に居続けるのも問題があるとはどんな変異なのだろうか。


「それでいつ頃転校に?」

「授業は二学期からですが、入寮は夏休みに入ってからになります」

「了解致しました」


 その後、その者の対策や生活する上での注意など、特に風紀委員長のするべきことを会議し合った。


「これで生風会を終わりとする」


 そして、この日の生風会は解散となった。



「ここが朝花岳学園。ここに僕と同じような人がいるのか。でも、うまく行くかな?」


 その者は朝花岳学園の校門前に立ち、新たな出会いと学校生活を求めやってきたが、期待とは裏腹に不安を持っていた。


 そんな半々な気持ちで、その校門を通り、新たな一歩を踏み出した。


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