P.XX:俺たちの世界
神瀞「いよいよ始まりましたぁ!! Divine Nature!! 私が、この作品のヒロインを演じます、擱岾 神瀞と申しますですぅッ。
さて、ここでは私、擱岾神瀞がディバインの世界観などの設定についていろいろとご説明させていただくという、ありがた〜い企画なのです」
煕陋「おいおいおい……ちょっと待てッ。お前何勝手に始めちゃってんだよ。主人公の俺ナシで始めちゃったら、読者がいろいろ混乱するだろうが」
神瀞「イヤ。あんたとやった方が読者の皆様に分かりやすく説明できる確率、半減なんだもん。どうせなら私1人でやった方がいいと確信しましたので」
煕陋「な〜に言ってんだッ。主人公であるこの俺、紅鞍 煕陋17歳、冷静沈着、成績優秀、スポーツ万能、そしてクラスの女子の人気を独占しているという……」
神瀞「大嘘ぶっこかないでよ!! それに、ちゃっかり自分の説明だけ始めちゃったりしないこと! でないと……風穴開けるからね……」
煕陋「わ、わわわわかったから……俺に向いてるその銃口どうにかしてくんない……?」
神瀞「黙っててね?」
煕陋「はい……」
神瀞「え〜。静かになりましたところで、とりあえず説明に移ります。
時は2034年。世界有数の経済都市である日本は、ある重大な危機に面していた。それは、凶悪なテログループによる日本の占拠。いえ、正確には占拠活動。
福岡の都市、博多への空爆と同時に流された犯行声明によると、テロの目的は日本という国そのもの。大型都市が塵と化す中、テログループの要求を拒否し、全面的に戦う意向を示す日本。テログループに対抗するため、日本の首都――東京は国連軍の管轄として警備を国連へと預けた。
一国家として、肝心の首都を失った日本。そこで、首都機能を国民にさえ悟られないように、ひっそりと移転することにした。
その場所とは、東北地方、秋田県、由利本荘区。元々は市だった場所から、東京の特別発展支援区として都市の発展と、日本の安全を託された区。
しかし、日本の国民にさえその事実は知られてはいけない。テログループのスパイは、何処に潜んでいるのかわからないためだ。日本の閣僚たちがこんな田舎に集まる事も、この地区の人間たちにさえ知られてはいけないのだ」
煕陋「…………」
神瀞「…………」
煕陋「……おい?」
神瀞「何?」
煕陋「これで終わりか?」
神瀞「これじゃ物足りないの?」
煕陋「当たり前だろ。なんだか尻切れだし、しかも俺たち主要キャラクターの紹介さえないってどういう事だよッ」
神瀞「面倒」
煕陋「はぁッ!?」
神瀞「だってぇ……この調子で長々と説明したってぇ、読者の皆さんが飽きちゃうだけっていうかぁ……」
煕陋「飽きたのはお前の方なんだろ……。それに、その猫なで声と上目遣いはやめてくれ。なんか……変な、感じになる……」
神瀞「え?」
煕陋「な、なんでもない……。それより! とにかくこんなんじゃあ俺たちがこの企画をした意味が無くなるだろ」
神瀞「じゃあ煕陋がやればいいじゃない。さっきから黙ってただけのくせに」
煕陋「お前が黙ってろって言ったんだよな!? 何、俺が悪いの? 俺に責任あんのかこれ!? はぁ……まぁいいや。仕方ない、台本よこせ」
神瀞「はい、これ台本」
煕陋「なんだよ、まだまだ残ってるじゃん。まずはー……俺たちの学校のことから説明しましょうか。
国立聖京学園高等部――由利本荘区の田舎町に突如建設されたこの学校では、テロ対策としての戦略技術を教えている。普通の高校の授業教科にプラスし、戦争、経済、相手の武力状況、自分たちで生き残る方法まで教育している。
しかし、普通に皆が思い描く戦争の訓練とはちょっと種が異なる。我が校が教育して作り出す兵士たちは、ただ銃を持ってドンパチするだけではない。1人1人が百戦錬磨、一騎当千を成し得る少数精鋭部隊なのだ」
神瀞「つまりは戦車を操縦したり大砲を撃ちはなったりするようなものはではなく、戦国シミュレーションゲームのような、1人で何千人斬り!! なんていう類の戦士たちを創り出す目的で授業をしているのです!」
煕陋「まぁ……それなりの中学を卒業してるやつでも入学の時点からめちゃくちゃ強いのがいるけどな」
神瀞「私みたいにねッ! ブイッ!!」
煕陋「お前は化け物だろ。あと、ピースするな……。それより、続けるぞ。
生徒1人1人がそれぞれの使いやすい武器を持ち、敵部隊を殲滅する。まぁそんな感じの学校だ。放課後には部活感覚の軽い実戦訓練とかもあるくらいで……」
神瀞「実戦の時点で軽いようなものじゃないんだけどね……」
煕陋「ちなみに、神瀞の武器は二丁拳銃……」
神瀞「やだなぁ、双方射銃って言ってよぉ。それに、あたしのは自動拳銃じゃなくて回転式拳銃! この6連発の形といい、色艶といい、最高なのよねぇ……」
煕陋「そのごつい形のどこがいいんだか……。そういえば、6連発のそのリボルバー、なんていう名前だっけ?」
神瀞「え? エースくんとイプシロンちゃんのこと?」
煕陋「違う! それはお前が勝手にリボルバーたちに付けた名前だろッ。あれだよ、よくお前が呼ばれてる……そうだ、六芒星だ。“ダブルハンドのヘキサグラム”。あれどういう意味だ?」
神瀞「知らない。勝手に周りがそう呼んでた」
煕陋「ふ〜ん。まぁいいか……。それより、残る説明は……俺たちのことくらいかな」
神瀞「いよいよ……この華麗なる神瀞様のプロフィールを大公開ということねッ。さてさて、ファン待望の特別企画ぅ!! 私の全てを教えてあげる♪」
煕陋「まだ始まって間もないのにファンなんて集まるかバ〜カ……。まぁ、『学園内美少女四天王』のみくるちゃんならあり得るかも知れないけどな〜」
神瀞「あぁ〜!! なんで私たち主要キャラよりもあんなサブキャラを先に出すわけぇ!? まだ本編にも出てきて無いじゃない!!」
煕陋「いいじゃん、かわいいし」
神瀞「その伸びきった鼻の下、今すぐ排除しましょうか……」
煕陋「だ〜か〜ら〜! 俺に銃を向けるなっての!! 一応主人公だよ俺! こんな本編でもない番外企画で死んじゃったら、これからどうするんだよ!?」
神瀞「大丈夫。あんたの代わりなんていくらでもいるわ……」
煕陋「何ちゃっかり恐いワード口走ってんだお前!? ……わ、わかったよッ。後で“銀河堂”のレアチーズケーキおごるからぁ!!」
神瀞「本当……?」
煕陋「ほ、本当です……」
神瀞「やったぁッ!! 嬉しいッ。じゃあ気分も良くなったところで、早速、紹介へいってみよう!!」
煕陋(ほんと、銀河堂には弱いなこいつ……)
神瀞「再び申し上げます。私の名前は擱岾 神瀞。えーっと……」
煕陋「? どうした? 急に黙り込んで……」
神瀞「ねぇ煕陋、この台本、代わりに読んで」
煕陋「え、なんでだよ?」
神瀞「だって、自分で自分の紹介するなんて……なんだか、恥ずかしいじゃない?」
煕陋「自己紹介は自分でするから自己紹介なんだけどな……」
神瀞「だぁってぇ〜……」
煕陋「わ〜かったよッ。だからその猫なで声と上目遣いの同時攻撃はやめてくれ……。え〜っと、台本のここを読めばいいんだな?」
神瀞「お願いね♪」
煕陋「えっと。擱岾 神瀞――状況分析力、判断力、人間に指示を与える統率力などが優れており、国からは、高校生ながらも対テロの日本自衛軍二番隊副隊長の地位を与えられている。
性格は明るく、周囲の人間から慕われる。眉目秀麗で、赤い髪に、青い瞳をしている。戦闘での強さも学業成績も学園のトップクラス。
武器は双方射銃の六芒星……つまり回転式拳銃を二挺構えてるって事だな。
そして俺たちの学園では、入学試験の際に示した成績によって、生徒それぞれに称号が与えられているんだ。俺たち生徒は、しばしばそのコードネームで呼び合ったりすることがある。
ちなみに神瀞のコードネームは、Earth=大地。…………」
神瀞「どうしたの? 続きはないの?」
煕陋「あ、あぁ。続きはないんだけど……なんか引っかかってな」
神瀞「何が?」
煕陋「これ、なんかおかしくない?」
神瀞「なんで? 別におかしい所なんか……」
煕陋「いや、明らかに美化しすぎだ」
神瀞「美化なんて無かったよ? 全部その通りじゃない」
煕陋「いいやおかしい! 『眉目秀麗』なんて言葉が出てきたときにおや? ッと思ったけど、明らかになんかおかしい! 大体、この台本作ったの誰だよ」
神瀞「作者」
煕陋「なるほどな。お前を気に入っている作者ならあり得そうな話だ」
神瀞「そんなこと無いよ。それに、私は誰に言い寄られたって……私は……」
煕陋「え?」
神瀞「さぁて、今度は煕陋のプロフィールね!」
煕陋「お、おい。今お前何か言いかけ……」
神瀞「紅鞍 煕陋――明るい性格で、理屈っぽい発言をする。物事をよく考えるときとあまり考えないときの差が激しく、一度思ったことは貫く主義。
普段はどこか考えが甘い面があるが、いざというときは冷静で真剣になる。
その場の空気を自在に操る力を持っている。コードネームはSky=大空。
ちなみに考えが浅い鈍感男で、学園内で定められた実力LevelはLv.《レベル》7と、中途半端な数字」
煕陋「ちょっと待てッ! やっぱおかしいじゃないか俺の紹介!! 明らかに俺には貶すワードが入ってるだろ! 作者は俺のことが嫌いか…」
神瀞「別にそんなこと無いよ。最後の一文は私が付け加えただけなんだから」
煕陋「お前の仕業か!! 他人の偏見の入ったものなんて紹介にならないだろ!!」
神瀞「まぁそういうことで、これからこんな私たちが織り成す物語を、どうぞお楽しみ下さいッ☆」
煕陋「俺の話を聞けぇぇぇぇぇ!!」
零臥「ねぇ……」
式埜「何?」
零臥「僕たちの紹介は……?」
式埜「さぁ。しかも、本編の文字数より越えてるしね」
零臥「なんだかあの2人、いつもよりハイテンションだったし……。大丈夫かな、この先?」
式埜「まぁ、いいんじゃない? たまには息抜きも。戦場では、適度なリラックスが大切なんだから。それに……なんだか零臥もいつもよりにこにこしてるし」
零臥「そうかな? まぁ、あの2人が微笑ましいからね♪」
式埜「…………。まぁ、これからも応援とご愛読を……」
零臥「よろしくお願いします♪」
煕陋「結局最後は、お前たちがしめるのかよ……」