りんけーじ94 リヴァイアサンのお腹の中
りんけーじ94 リヴァイアサンのお腹の中
「ううっ..」俺たちは、暗黒の海の中を漂っていた。いや正確にはリヴァイアサンの広大な腹の中だ。
「ローリィー!!」鈴乃が周囲に杖をかざして叫んだ。
しかし、鈴乃の声が反響するばかりだ。
「ああ、あそこに何か!」あかねが、指を差した。
そちらの方を見てみると、何かがぷかぷかと浮いている。
「える、向こうに向かうのじゃ!」凜がえるに、指示した。
「はい、ますたー」えるは頷くとゆっくり、浮いているものの方へ、移動した。
「ああ!」ヴァールは自分の体を発光させ、なにかを照らした。
それは、ローリィだった。
「ローリィちゃん!」あかねが、呼びかけたが反応が無い。
「よしっ!待ってろ」俺はそう言うと、反射的に飛び込んでいた。
「おい、しっかりしろ!」俺は、ローリィを抱きかかえると、冷たい体を揺すった。
だが、ローリィは反応しない。
「取り敢えずわたしに乗せてください!」えるはそう言うと、頭を下げ俺たちに近づけた。
俺は、えるにローリィを乗せると、自分もえるによじ登った。
そして、ローリィをみんなのところに運んだ。
「ローリィ?大丈夫?ローリィ?」鈴乃が優しく白く生気のないローリィの顔を撫でた。
ローリィは動かない。
「よし、回復術をやってみます!」あかねはそう言うと、青ローリィに両手をかざした。
「レナトゥス!」あかねの両腕の宝石が光を帯び、みるみるうちにローリィを優しく包んで行った。
すると、ローリィの指先が微かに動いた。
「う、うぅ~ん…」ローリィは眉をひそめると、カハッと血を吐いた。
「あぁ、ローリィ!」凜と、鈴乃がローリィに指を絡めた。
「…、わたしなら…救って見せる」あかねは、ローリィにかざしている両手に意識を集中させた。
ゆっくりとローリィは瞳を開けた「あ、あかね、凜、鈴乃…、ここは…?」
「ヤツのお腹の中じゃ」凜が説明すると、ローリィは辺りを見回した。
「おら、みんなをあいつから、助けようと思って…、必死にあいつに向かって行って、その後わからないっぽ..、みんな食われてしまったっぽ?おらがいたのに、みんなを助けられなかったっぽ」ローリィは、瞳に涙をいっぱいに溜めて、凜に尋ねた。
「何をいっておる、お主はその小さな体で精一杯やったのじゃ!」凜は、ローリィを握る手に力を込めた。
「は~っ、何か体が楽になってきたっぽ」あかねの回復術のおかげで、徐々にローリィの顔色は赤みがさして、体も温かくなってきた。
「よかった!」ヴァールの、頬からクリスタルの様な涙がこぼれ落ちた。




