りんけーじ84 流されて...
りんけーじ84 流されて...
「ますたー…、あかね」えるは、凜と隣にいたあかねに声を掛けた。
「えるちゃんの意識がなかなか戻らなくて、心配したんだよ」あかねも心配そうにえるを見た。
「すみません。私としたことが、ますたーたちをお守りできずに」えるは、悲しそうな顔をした。
「なーに、案ずるな!こういう時はわれがえるを守るんじゃ!」凜はぎゅっとえるに抱き着いた。
「後のメンバーはどうしたんでしょうか?」えるは辺りを見回した。
どこか知らない海岸で、ざざーっと、さざ波が真っ白い海岸に打ち寄せており、時より海鳥のヒヨヒヨと言う鳴き声が聞こえるだけで、他に人の気配は無さそうだった。
反対側は山が広がっており、山には木々が生い茂り熱帯雨林のジャングルの様になっていた。
「…まだわからぬ」凜が涙を拭った「あかねに起こされて、気が付いたら、われはえると一緒に倒れていたんじゃ」
「そうですか..」えるは心配そうに言った。
「ううむ、周りを探してみるかの」凜は立ち上がると、体に付いた砂を払った。
「おーい、鈴乃―、ヴァール」「円正寺さーん、マリスー!」
30分位経っただろうか、どうやら他のメンバーは近くにはいないらしい。
「さて、どうしたもんかの」凜は顎を擦った。
「海は広いですからね、探すのも一苦労ですね」あかねが腕を組んだ。
「ますたー、あかねちゃん、わたしに、乗って空から探してみましょうか?」えるが提案した。
「ああ、その手があったか」あかねがポンと自分の拳で手のひらを叩いてみせた。
「える、体は大丈夫かの?」凜が気遣った。
「ますたー、わたしは、ドラゴンですよ!」えるがニコッと笑った。
「どうですか?」えるは翼をはためかせる。
「なかなか、みつからんもんじゃのう」凜は右手で庇を造り、えるの左側の眼下をぐるっと見回す「あかねー、そっちは、どうじゃー?」
「こっちも、みつかりませーん」あかねが、えるの右側から答える「あのー、探していて気づいたんですが」
「なんじゃー?」凜があかねの方を振り向いた。
「確かわたしたち、海中にいたんですよね」あかねが言った。
「うむ」凜が頷いた。
「だったら、鈴乃さんたち、今も海の中にいるんじゃ」
「な、な!」凜のツインテールが逆立った。
「!」えるも、一瞬フリーズした。
「そうじゃった。海の中を探さんと意味がないではないか!」凜が頭を抱えた。
「そ、そうでしたー、私としたことが、地竜の性と言うべきか」えるは顔を赤くした。
「ええ。それでは、気を取り直して、海の中を探しますよ!」えるがウィンクして見せた。
「ますたー、あかね、ちゃんと摑まっててくださいね!」そう言うと、えるは急降下した。
「え、えるー」凜が叫ぶ。
「速い、速い」あかねはえるにしがみ付いた。
―――いくら、えるの力で安全だとわかっていても、やっぱり怖い。
「ひゃああ」凜とあかねは眼をつぶった。
どんどん速度を上げて行くえるは、「海に入りますよ!」と言うと、巨体もろ共、海中にドッボーンと物凄い水飛沫を上げ突っ込んだ。
目を開けると凜とあかねは無数のキラキラと光る泡に包まれた。
そうかわたしたちは、マリスさんの力で海の中でも呼吸できるんだ。
あかねは、呼吸できることを再認識した。
「しかし、海の中だと、空の様には視界がきかぬのう」凜が眉をへの字に曲げた。
「そうですねー、どうやってさがしますか」あかねも首を捻った。
「フッフーン、ますたー、私に任せてください!」えるが自信有り気に言った。
「える、どうするのじゃ?」凜が怪訝な顔をした。
「わたしには、ドラゴンの千里眼があります」えるが胸をポンと叩いた。
「へー、すごいえるちゃん!」あかねは感心した表情を浮かべた。
「ふ-む、それではやってみるのじゃ!える」凜は興味津々だった。
「では、コホン」えるは咳払いした。
「古より伝わりし、地竜族の遠き彼の地を見通せる、竜の瞳よ、大海の内にも、われにその力を今ここに、示さん」
えるが詠唱を始めると、凜は眼を輝かした「か、かっこいい♡」
「千里眼!」えるはそう叫ぶと瞳を一際大きく見開いた。
すると、目の前に炎の様な大きな瞳が現れ怪しく輝いた。
えるのなかでは、その大きな瞳を通して、遠くの景色が目まぐるしく変化していく。
―――鈴乃さんたちは―――
その時、遥か遠くの海底に鈴乃、ヴァール、と俺の姿が現れた。
「見つけた!」えるは叫んだ。
「鈴乃たちは無事か?」凜はえるに向かって叫んだ。
「ええ、かなり遠くの海底にいます。あちらでも、わたしたちを探している様です」えるは凜にそうこたえると、「それでは、鈴乃さんたちを探しに行きましょう!」と、海中で翼を羽ばたたかせた。




