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りんけーじ83 過去の記憶

りんけーじ83 過去の記憶


「うう…」俺は、意識を失っていた様だ。

辺りを見回すと、どこかわからない真っ暗な海の底だった。

俺は誰かの手を掴んでいたので、俺は肩を揺すってみた「おい、大丈夫か?」

「う~ん」と声が返ってきた。

どうやら、鈴乃の様だ。

鈴乃はゆっくりと目を開けた「円正寺…くん!?真っ暗ね、ここは…?」

「わからない、どこかの海底」俺は答えた。

「ええっと、渦潮に巻き込まれて、回転しているうちに意識を失って..ヴァールや他のみんなは?」鈴乃は上半身を起こすと頭を押さえた。

「分からない…」俺は頭を振った。

俺は剣を取り出し「ファイアーボルト!」と叫んだ。

すると、剣からメラメラと炎の様な光が湧き出し辺りを照らした。

鈴乃も辺りを見回すと、一点を指差した。「あそこに誰か倒れている」

鈴乃が指差した方を見ると、確かに誰がうつ伏せに倒れている様だった。

俺たちはそっちに向かった。

徐々に近づくとそれはヴァールだった。

「ヴァール、ねえ?ヴァール」鈴乃はヴァールを仰向けに起こし抱きしめた。


その頃、凜たちは…


ザザーっと波の音が聞こえる、砂浜に打ち上げられた者たちがいる。

凜はえるに包まれる様に抱かれたまま横たわっていた。

そして数メートル離れたところにあかねが倒れている。

えるは、昔の夢を見ていた。

敵対する勢力と壮絶な戦いを繰り広げていた。

敵を大勢倒した事も有ったが、大勢の仲間を失ったこともあった。

記憶に残った大きな闘い―――アステアの戦い―――

この戦いで、敵対勢力の謀略にまんまと嵌り、地竜勢は大敗し、えるは、瀕死の重傷を負い、一緒に戦っていた親友のエルクラットも亡くなった。

気が付くと地竜は自分だけになっていた。

敵対勢力は尚も攻撃の手を緩めない。

「このままでは、殺される…」えるの脳裏に言葉が走った。

絶体絶命の瞬間、突然眩い緑の閃光が走った。

「時空のはざまだ」力を振り絞って、その中に巨体を反転させると、滑り込ませた。

「わたしは、死ぬのか?」そんなことを考えながら光に包まれたえるは、やがて意識を失った。

どれくらい時が流れたのか、数分いや、数百年?えるは意識を取り戻した。

目を開けると、ドラゴンの姿をした自分の前に小さな女の子が立っていた。

威嚇しようとしたが、もう力が残っていない。

「敵対勢力の追手か?ならば、さあ殺せ」えるは、眼を閉じた。

「大丈夫?」その女の子は、今まで聞いたことがない言語で語りかけてきた。

地竜である自分には、聞いたことの無い言語でも何とか理解ができる。

女の子はえるに恐る恐る近づくと、えるの長い首をそっと擦った。

そして再び言った「竜さんだよね?絵本でしかみたことなかったけど、本当にいたんだ!

怪我しているんだよね?大丈夫?」

えるは「フーッ」と息を吐いた。「どうやら敵対勢力の者ではなさそうだな。この姿を見ても恐れん人間がいるとは」

「竜さん!わたしが守ってあげる、絶対治してあげるからね!」少女は首に抱き着いた。

「少女の言動から察すると、どうやらこの世界に竜はいないらしい、この姿では、目立ちすぎるな」そう思ったえるは、少女に脳に直接語りかけた。「これから、わたしは人間の姿に変わる、危ないから少し離れていろ」

少女は頷くと、数歩後ずさった。

えるは最後の力を振り絞って少女の姿にメタモルフォーゼするとともに、再び意識を失った。


 えるは、天井を見上げていた。白いシーツのベッドで寝ていた。

体を動かしてみる、まだ傷が疼くが、瀕死だった事を考えれば、大分回復していた。

「竜さん、起きたの?」横を見ると、あの少女がいる。

「大怪我だったんだから、まだ動いちゃだめよ」女の子が優しくたしなめる。

「…お前、わたしが、怖くないのか?」えるは、思い切って話しかけてみた。

「ぜーん、ぜん!」女の子はウィンクしてみせた。

「あのね、わたし、ぜーったい、絵本で読んだ竜はいると思っていたの。周りのおともだちは、ばかにするけど」女の子は続ける「そして、竜さんとおともだちになるのが夢だったの」

「こんなわたしを助けて、何が望だ?財宝か不老不死か?」えるは訊ねる。

「ううん」女の子は首を横に振った「だから、言ったでしょ!」「わたしたちは、ずっとおともだちよ!」



「…る、える、える、大丈夫か?」「のう、える返事をしてくれ」えるは、誰かの声で目を覚ました。

そこには、涙をいっぱい貯めた、凜の瞳があった。「よっかた、やっと目を覚ました!える!」凜はえるに抱き着いた。


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