りんけーじ7 ハンバーガーセットと異世界探検部
りんけーじ7 ハンバーガーセットと異世界探検部
ワックの店内に入ると、ピポピーピポピーという音と共に、揚げたてのフライドポテトの匂いが食欲をそそった。
「わたし、スペシャルセットを食べたいのだけれど!」と鈴乃がジロリと睨んで言った。
俺は「はい」と答えた。
「でもまさか、こんなかわいい女の子が降ってくるとは思わなかった」と言うと、
「今度、やったら殺すからね!!」鈴乃は思い出し、顔を赤らめ、チラッと俺を睨んだ。
「あ、あれは偶然というか、不慮の事故というか、俺も触りたくて触ったわけじゃないよ!」と俺が慌てて弁解する。
鈴乃はぷくっと頬を膨らませた「あーそー!悪かったわね!どうせ、そうでしょうよ!」と言った後、くすっと笑った。
「そう言えば君も照桜高校だったよね、俺は2年B組だけど、君は?」と、尋ねると
「わたしは、αクラスよ。」と、オレンジジュースを飲みながら答えた。
αと言えば、超難関大学の突破を目的とした特進クラスで、当然頭脳明晰の秀才が、集まるクラスだった。
「すげー!特進のαかよ!!」と羨望の眼差しを向けて俺が言うと、鈴乃は「ええ、そうよ」と、無感情に答えてきた。
「普通の人には、分からない苦しみがあるのよ…」と鈴乃は俯きながら、寂しそうにポテト」を1本口に入れた。
…いろいろな苦労もあるんだろうな、と俺は思いながら、話をもう一つの世界に戻した。
「でも、本当にもう一つの世界は実在したんだね!」と、俺が言うと、
鈴乃はオレンジジュースを飲みながら、「それ、そうね。でも、どんな世界なのか、もっと、探検はしてみたい気はするわね」といたずらっ子の様に瞳を輝かせた。
俺は、へーっこんな可愛い一面も有るんだーと、そんな鈴乃の無邪気な顔に、一瞬、鼓動が速くなるのを感じた。
鈴乃に心を悟られない様に冷静を装いながら「もう一つの世界を、これから色々探検してみようよ!」と、鈴乃に行ってみた。
「うーん」と鈴乃は、ハンバーガーを頬張りもくもく食べたあと、「変なことしないでしょうね!?」と、俺を一瞥した。
俺は「はい」とだけ答えた。
再び鈴乃は「一人じゃちょっと怖いし…」と、右手の人差し指を顎に付けた。
—――どうやら、考える時に人差し指を顎に当てるのは鈴乃の癖らしい―――
「じ、じゃあ、勉強が忙しくない時に、わたしの番犬として、探検に同行させることを許可するわ!」と鈴乃は答えた。
「なんで、上から目線なんだよ!」と俺が言うと。
「し、仕方ないから、同行することを許可すると言っているのよ!」と鈴乃は答えた。
俺は、あーあー、これだから、お嬢様は、と思いつつ、「へー、へー」と答えると。
鈴乃は俺の様子をちらりと見て、くすっと笑った。
まあ何はともあれ、もうひとつの世界を探検する仲間ができたということだ!
「あ、そうだ!活動を異世界探検部にひまひょう!」と鈴乃はハンバーガーを持ったまま、立ち上がった。