りんけーじ61 紗那の登校
りんけーじ61 紗那の登校
「えーっ。唐突ではあるが、円正寺が諸般の事情により、転校する事になりその代わりと言っては何だが、新たに我がクラスの一員となった円正寺 紗那君を紹介する。」
俺は、岸町京子に転入生として紹介された。
「円正寺 紗那と言います」俺はぺこりとお辞儀する。
「うぉお!カワイイ!!」クラスの男子から騒いだ。
「え、えっとオレ、わ、わたしは?円正寺康太君の親戚に当たります、み、皆さんよろしくお願いします」俺はクラスの男子の反応にたじろいだ。
「―――と言うことだ。みんなよろしくな!紗那君は、あそこの机だ、円正寺が座っていた席に」岸町京子は指さした。
「はい」俺は頷き、自分の席に座った。
「わたしに任せて」隣のヴァールが俺の手を取り見つめた。
慌てることはない、俺にとっては今までとは変わらない学校生活だ。
休み時間になり、トイレに行きたくなったので、いつも通り男子トイレに向かった。そしてドアに手を掛けた。
「ダメっ!」その瞬間何かに物凄い勢いで、手が引っ張られた。
「うわっ!?」俺はひっくり返りそうになった。振り返ると真っ赤になったヴァールだった。
「はぁ、はぁ、そ、そこを開けたら、完全に痴女が確定してしまいます!」ヴァールは懸命だった。
「あ、そうだった。い、今は女子なんだよな!」俺は頭を掻いた。
「トイレに行きたくなったら、わたしに言ってください!女子トイレに案内します、それで、わたしが先に入って誰もいないことが確認できたら、合図しますっ。そしたら入ってください!わたしは外でほかの人が入らない様に見張ってます」ヴァールは恥ずかしそうに言った。
「ごめん、じゃあ、よろしく頼む」俺はヴァールに着いていった。
「今なら大丈夫です、入ってください!」先に女子トイレに入ったヴァール合図があった。
「うわー女子トイレかー」入るのはかなり抵抗があった。しかし、もう限界が来そうだ。今、俺は女子だ、えーい仕方あるまい!恥ずかしくて涙目になりながら「ご、ごめん
なさい!もう我慢できないので入ります!」と女子トイレのドアを開け、急いで個室に駆け込んだ。
―――当然誰もいない。
「終わりましたか~?」ヴァールの声が廊下から聞こえた。
「うん、今出るー」俺は、そそくさ個室のドアを開け、手を洗い、女子トイレから出た。
「ありがと、ヴァール」放心状態になりながら、ヴァールに感謝した。
ヴァールは一瞬気の毒そうな顔をしたあと、微笑んで頷いた。
しかし、今は男子トイレに入る訳にはいかない。女子としての生活に馴染まなくては、
俺は心の中で自分に言い聞かせた。
トイレが終わると、次の難関が待っていた。
それは、体育の授業だ!
運動自体は問題無いのだが、問題は女子更衣室での着替えだ。
しかもそこは、男子禁制だ!
クラスの女子のあんな姿や、こんな姿が見れてしまう!
こ、これは、いい事なのか?
いや、いくら自分が今女子であるにせよ、これは、卑怯だ!何かが間違っている!
「ヴ、ヴァールさん….」俺はヴァールに相談することにした。
「何でしょう?」ヴァールがこちらを向いた。
「あ、あの次体育の授業なんだけど…」俺は下を向いた。
「着替えですね?」ヴァールは答えた。
「…」俺は黙って頷いた。
ふーっと、ヴァールはため息をついた。「それも考えています。最初にわたしがクラスの女子たちと普通に着替えますので、康太、いや紗那さんはその間は廊下で待機していてください。そして、みんながいなくなったら声を掛けますので、そしたら中に入って着替えてください!」
俺は下を向いて頷いた。
ヴァールさまさまだ。
数学の授業が終わり、次は体育の授業だ。
俺は、体操着を準備していた。
その時、同じクラスの内谷 花音と、辻 綾花が声を掛けてきた。
「ねえねえ、次は体育の授業だから、女子更衣室に一緒に行こうよ」
「ええっと」俺はヴァールを探したが見当たらなかった。
「行こうよ!」花音と綾花に促された。
「う、うん」俺は、仕方なく一緒に行く事にした。
「円正寺さんかわいいし、スタイルもいいから、前の学校モテたでしょう」綾花が手をつないできた。
「胸大きいよね、うらやましい。何カップ?」花音が自分の胸と俺の胸を交互に見た。
ついに、男子禁制の女子更衣室に着いてしまった。
「さあ、早く入ろう」花音は俺が入るのを躊躇しているのを見て、手を引っ張った。
「ち、ちょっと待って!」俺は懸命に抵抗した。
「別に女同士なんだから、恥ずかしがることないじゃん!」綾花が言った。
そっちは、気にならなくても、こっちには、気になるんです!本当にいいんですか!?
と俺は心の中で叫んだ、「あっ」。
「えいっ」と後ろから綾花が俺の両肩を掴みぐいっと押し入れた。
オーバーホールも目途が立ってきました!




