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りんけーじ6 現実世界に戻る

りんけーじ6 現実世界に戻る


仕方なく俺たちは、店を後にした。

鈴乃は店を出ると俺をチラッと一瞥した「お店には入れなかったわね。ちょっと興味があったけど、残念ね…今度は入る方法を考えましょう」

「それにしても、お腹が空いたわ、円正寺君、何とかこの状況を打開しなさい!」と言いながら鈴乃はお腹をさすった。

俺は生きた猫耳獣人に、出会えた満足感を噛みしめていたが、鈴乃の言葉で、現実に引き戻された。

「はあ~」と、俺はため息を吐いた。

 ここで、ミーの言葉を思い出した。元の世界に戻ることも出来ることを――。

「じゃあ、元の世界つまり俺たちが日常を過ごしている世界に戻って、何か食べる?」俺は鈴乃に提案してみた。

鈴乃は「う~ん…」と言って、目を瞑り、右手の人差し指を唇に当てて暫く考えていた。

そして、目を開けると「じゃあ、円正寺君、ハンバーガーセットを奢りなさい。それで、あの(・・)一件(・・)はチャラにするわ」と言った。

俺はホッとため息を付いた。

そして戻るに当たっての、俺の意見を説明した。「ただ、戻るに当たって何時、何処に戻るのか、それが未だよく分かっていない。仮説だけど俺たちは、ここに来た時の出発点に戻るんじゃないかと思う。きっと、こっちの世界の時間軸と、俺たちが元居た世界の時間軸を結ぶ針の穴の様なもの同士が、この指輪を通して一点で繋がって、行き来できると思うんだ。だから、向こうに戻る座標は決まっていて、戻るのは、向こうを出た時の同じ時間,同じ場所に戻ると思う。」

鈴乃は静かに聞き入った後、口を開いた「もし、円正寺君の仮説が正しいとすれば、わたしがこの世界にやって来た時に、円正寺君は既にこの世界にいた。つまり、あちらの世界に戻った時には、その時間差分だけ戻った時間が異なり、戻る場所も違うと言うことになるわね」

俺は頷いた。

鈴乃は続けた「では、円正寺君は私がこの世界に来る、どれくらい前にやって来たの?」。

「俺がこの世界に入って5分以内に鈴乃は空から降ってきた」と、俺は答えた。

「降ってきたって…じゃあ、向こうの世界に戻る時間は5分位の差があるということになるわね。それで、あなたは、どこからやって来たの?わたしは、学校の中庭よ」と、鈴乃は自分の出発点を説明した。

「俺は、校舎の屋上から来た」俺は答えた。

「じゃあ、円正寺君があっちの世界に戻ったら、校舎の中庭で落ち合いましょう」鈴乃は、ウィンクした。

仮説は本当に正しいのか一抹の不安はあったが、2人とも指輪を投げてみた。

眩い光に全身が包まれ、エレベーターに乗った時の様な、体が浮遊する様な感覚に襲われた後、地面にストンと着地する様な重力が足から伝わった。

恐る恐る、目を開けると、そこは元いた校舎の屋上だった。辺りを見回したが鈴乃は、いない。

校舎の時計を見ると、やはり、もう一つの世界に出て行った時間だ。つまりもう一つの世界に行っている間こちらの世界の時間は止まっている―――

 鈴乃と待ち合わせた校舎の中庭を見下ろすと、鈴乃が立っていた。あれは、これからあちらの世界に、行こうとしている鈴乃だ。

そして、右手を上げ振り下ろした。指輪を投げたのだろう。

一瞬閃光が迸り、鈴乃が消失すると同時に鈴乃が現れた。それを見た俺は、「おかえり鈴乃…」とほっとして、思わず呟いた。


何とか、毎週投稿を目標に頑張っています。

今後の創作の励みになりますので、お気軽に感想などなど

お待ちしております。(6ヮ6)


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