りんけーじ59 凜の家
りんけーじ59 凜の家
「まあ、何はともあれ、服を選ばなくちゃ!」鈴乃は俺のスウェット姿を見ながら言った。
「康太!ちょっと、こっちに来るがよい」凜が手招きした。
凜の隣に行き並んでみる
凜が並んだ俺を見た「われと、同じくらいの身長ではないか?」
「そうですねぇ、大体同じくらいかな」あかねが俺と凜を見比べた。
「ふむ、ではわれの家に来るのじゃ。われのお古で良ければ、お主に服を進ぜよう!」凜が両腕を組んだ。
何でも凜の家には、着なくなった服がタンスの肥やしに、なっているとの事であった。
みんなで凜の家に行くことになった。
「ああ、われじゃ。大き目の車を1台迎えによこしてほしいのじゃ。ふむ、それでは、よろしく頼んだぞ」凜は、スマートフォンで何やら連絡をした。
―――程なく家の前に車の止まる音がした。
「来た様じゃな。では、参ろうか。」凜が言った。
「!?」玄関のドアを開けると、黒塗りの大きなリムジンが止まっており、ドアまで赤いカーペットが敷かれていた。
その横に黒いスーツを着て、白い手袋を付けた、ショートボブの美少女が立っていた。
「凜お嬢様、える様、ヴァール様、お迎えに伺いました」黒服の美少女は右手を胸に当てお辞儀した。
「うむ、アリスご苦労!」凜が答えた。
「ふえーっ!すごい車」あかねが目を丸くした。
みんなが乗り込むのを確認すると、アリスと言われた美少女はドア閉め、車を発進させた。
暫く走り、1件の白い豪邸に車が付くと、玄関のスロープに赤いカーペットが引かれ、執事やメイドが出迎えた「お帰りなさいませ、凜お嬢様、える様、ヴァール様」。
「うわー!すごいわね!!」鈴乃は口を押えた。
広い通路を進み、凜の部屋に着くと、2人のメイドが待っていた。
メイドは凜にお辞儀をすると、ささっと服を取りそろえた。
「ありがとう、後は自分たちでやるから下がってよいぞ」凜はメイドに礼を言った。
「さあ、では、みんなで康太の着替えをするのじゃ!」凜の合図と共に俺は、みんなに押さえつけられ着替えさせられた。
ヴァールは頬を赤らめ顔を隠して、傍に立っていた。
「うわー、やめろー!」俺は抵抗をしたが、無力だった。
「チャイナ服はどうじゃ」と凜。
「きゃー、カワイイです円正寺せんぱい」あかねが答えた。
「ちょっと、息苦しいと言うか、胸のところがきつい!」俺は答えた。
凜は、俺のはち切れそうな服の胸の膨らみと自分の胸を交互に見た「くーっ!どうせわれは、つるぺたなのじゃ!」
凜は悔しがった。
「大丈夫です!そう言うニーズもあるんです!」えるが優しく凜の頭を撫でた。
「そうか?」凜はえるを見つめた。
「はい」えるはにこっとほほ笑んだ。
「あとで、直してもらえばいいのじ」気を取り直した凜が答えた。
「―――じゃあ、次はメイド服じゃ」凜
「これも、いいわね」と鈴乃。
「お次はナースじゃ」凜
「はぁ~」顔を覆った指の間からヴァールがちらりと見た。
「スク水はどうじゃ」凜
「あらぁ~!」える
「コスプレじゃ!うむ!なかなかさまになっておるぞ!」凜
「最後に、高校の制服じゃ!」凜
「あら、かわいい!」一同
そう言えば円正寺君が直ぐ男子に戻れればいいけど、戻れなかった場合のことも考えないといけないわね」鈴乃が腕を組んだ。
人の事だと思いやがってと、俺は心の中で思った。
「先ずは、名前ね。女性らしい名前を考えなくっちゃ、円正寺君何かある?」
「さーな?」俺は両手を広げた。
「ふーん、さーな?さーなねぇ…」鈴乃は顎に手を当てた。
鈴乃はパチンと両手を叩いた「そうだ、紗那でいいんじゃないの?円正寺紗那ちゃん!うん」
「いいですね、紗那せんぱい!」あかねが反応した。
「紗那ちゃん!」ヴァールが駆け寄り俺の手を握った。瞳に涙が溢れている。
―――何か俺は、円正寺紗那になってしまった。
その後、凜がメイドさん達に頼み、俺は採寸してもらい、服を直してもらった。
俺のスリーサイズを知った凜は再びヴァールに慰められていた。




