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りんけーじ57 箒墜落!

りんけーじ57 箒墜落!


バサバサッ!バキバキッ!

「くっ!」鈴乃の箒は木のてんぺんを擦った。

青臭い葉の香りがする。

木々の中をギリギリで飛行していると、真下に太い枝が見える。

「えいっ!」即座に足を掛け、枝を思いっきり蹴り上げた。

すると、箒の先端は上を向き次の瞬間、木の葉に埋もれていた鈴乃は、からっぽの空に飛び出した。

ヤバイ!鈴乃はその反動で、箒から体が滑り落ちた。

辛うじて、右手1本で箒に摑まっている。

その態勢のまま箒は飛び続けていく。

じんじんと痺れ徐々に握力が、無くなっていくのを感じた。

指が箒から1本ずつ離れていく。

「あっ!」鈴乃は、上を飛ぶ箒を見上げた。

妙に時間がゆっくりと流れている。

鈴乃の体は落下していく。

「ぐふっ!」鈴乃は何かの上にうつ伏せに落ちた。

「助かった」顔を少し上げると、ゴツゴツとしたえるの背中に乗っているのがわかった。

「ありがとう、える」鈴乃はうつ伏せのまま、ウロコを優しく撫でた。

鈴乃を乗せたえるは、羽根を羽ばたかせると、やや速度を上げ箒を追いかけた。

追い付くとカチッと咥えた。

「まだ飛べますか?」えるは鈴乃の方に首を向けた。

「まだ、やるわ!」鈴乃は、上体を起こした。

「じゃあ、箒を受け取ってください!」えるは、鈴乃に箒を口からそっと渡した。

鈴乃は、えるから箒を受け取ると、腰かけ目をつむった。

息を整え箒に向けて意識を集中させ、再び空に飛び上がった。

飛行姿勢が安定すると、えるの後ろに点く。

「じゃあ、再度急降下しますね!」えるは、鈴乃に思念を送った。

鈴乃は頷いた。

えるは、確認すると上昇姿勢を取った。

鈴乃もシンクロしていく。

雲の合間を抜け、地平線が遠くに見える。

「それでは、行きますよ!」えるは羽根をすぼませ、落下した。

―――今度こそ!―――鈴乃も続いた。

下からの風圧がどんどん強くなる、見る見る地上も近づいて来る…。

浮き上がりそうになる体を箒から離れない様に必死に、掴む手に力を込めた。

「よしっ!今だ!」下を飛ぶ、えるの体が地上と水平になったのを見た鈴乃は、それに合わせて箒を、引き上げた。

その瞬間、物凄いGが体に掛かった。まるで、巨人に上から押さえつけられている様だ。

落下しながらも、徐々に視線が真下の木々から周囲の森に移っていくのがわかる。

「やった!」やがて、地平線が目に飛び込んできた。

その後、えるに続いて、木々の間をすり抜けて飛ぶ練習をした。

えるは巨体を上手に左右に入れ替え、ひらりひらりと木々の間を縫う様に飛んでいく。

鈴乃は、後ろから必死に着いていった。


だいぶ鈴乃も箒を上手く、使いこなせる様になった。

「じゃあ、次は箒から落ちても、再び乗る訓練をしましょう」えるは鈴乃に語りかけた。

えるは続けた「この訓練は、箒に乗って飛ぶ時と考え方は同じなんですが、一旦離れた箒を自分の所に戻る様にイメージして、操作することを学びます」

「一旦、私に乗ってください」えるは鈴乃の真下に入る。

「じゃあ、降りるわよ!」鈴乃はえるの背中で立ち上がった。

「それでは箒を放してください」えるの掛け声と共に鈴乃は手を開いた。箒は回転しながら落下していく。

「次に、箒に集中して呼び戻してみてください」えるは鈴乃に思念を送った。

箒が戻ってくるように頭の中で指示を出す!鈴乃は、イメージする。

―――すると、箒は重力に逆らう様に、大きくカーブを描きながら鈴乃の元に戻ってきた。

鈴乃は箒に飛び乗った。

「鈴乃さん、出来ましたね!」えるが伝えてきた。

「えるのおかげだわ!」鈴乃のえるに微笑んだ。

「じゃあ今度は難易度が上がりますが、乗っている箒から飛び降り、再度箒に乗ってみましょう」えるは鈴乃の横を飛びながら、翼をはためかせた。

―――これは、勇気がいる!鈴乃は手からじわじわと汗が滲み出るのを感じた。

「大丈夫!もし乗れなかったら、私が鈴乃さんを拾い上げますから」えるは鈴乃の方に首を向けた。

「ちょっと、集中するから、待って」鈴乃は深呼吸しながら思考を整理した。

―――さっきと同じ、箒を呼び戻す。ただ今度は自分が落下しながら行うから、パニックにならない様にしないと。えるがフォローしてくれるから大丈夫、大丈夫―――

下を見ると下の木々がまるでブロッコリーの集まり様に見える、やはり高い。

えるがいてくれると頭の中ではわかっていても、いざ箒から飛び降りるとなると怖気づいてしまう。

鈴乃の頭の中で葛藤が続いた。

やがて決心が着くと、鈴乃はえるを見つめた「それじゃ、これからやるから、失敗したときは、える、フォローしてね!」

えるは「ミャアー」と鳴いて頷いた。

それを確認した鈴乃は、大きく息を吐く。そして箒から飛び降りた。

地上に向けてどんどん落下していく。

意識を集中した。

箒、箒、戻ってきて!

次の瞬間、鈴乃の箒が自分を受け止めたのを感じた「乗れた!」。

「やりましたね!」と言うえるの横顔を、傾きかけた日差しが金色に染めていた。


1話から、表題をつけることにして、おかしい所もオーバーホール中です、終了したら、アップしますのでよろしくお願いします。

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