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りんけーじ55 魔女の箒

りんけーじ55 魔女の箒


まぶしい朝の日差しに、目を細めながらいつもの様に、学校までの道を歩いていると「おはよう!」と、後ろから肩をポンっと軽く叩かれた。

振り返ると鈴乃が、日光でキラキラした長髪をなびかせながらニコっと微笑んでいる。

俺は「おはよう!」と返した。

鈴乃は俺の横に並んで歩いた「わたし、一つ考えている事があるのだけれど」

「?」俺は、鈴乃に視線だけ向けた。シャンプーの香りだろうか、花の様ないい香りがする。

「この間、異世界探検部の女子で話合って、あかねちゃんが、魔女のコスチュームを作ってくれた事だし、のみのおじいさんのお店で箒を手に入ようかと思っているんだけれど」「ウチの部活で空を飛べるのは、今のところ、ドラゴンになったえるちゃんだけでしょ。だからわたしも空を飛べる様にしようかと思っているの」鈴乃は自分の胸に右手を置いた。

空を飛べる部員がいるというのも、凄いものである。

「いいんじゃない」と俺は答えた。

「それで、円正寺君のみのおじいさんのお店に行くのに付き合ってよ!」鈴乃は悪戯っぽく言った。

俺は首を縦に振らざるを得なかった。


放課後になると、俺は、鈴乃ともう一つの世界に入り、早速、のみのじいいさんの武器店に向かった。

店内に入ると、薄暗く吸い込まれる様な闇の中で、蝋燭の灯りが怪しく揺らめき、不思議なお香の匂いが漂っていた。

いつもどおり店主のじいさんがどこにいるか分からなかった。

鈴乃は周囲をきょろきょろと見回した「こんにちはー!あのー、すみませんー!」

「なんじゃー?」やはり無人?に見える机の上から声が聞こえてきた。

「おお、お前さんたちかね、無事に生き残っているようじゃな」

俺は今までの経緯を話した。

「ほお、それはそれは大変じゃったのう」のみの店主は答えた。

鈴乃は机に向かって言った「あのー、今日は箒を買いにきたんですがー?」

「ふむ。して、どの様な箒じゃ?」机が喋った。

鈴乃は返した「魔女用の箒です」

「魔女用の箒か。ふむそれなら、1175番目の棚じゃな」

一体この店の陳列棚は何番まであるんだ?

「えっと、1175ですね」鈴乃はチョークで木の板に数字を書き、横にぶら下がった木槌でコンコンと木の板を叩いた。

手前の陳列棚に目を移すと、箒がズラッと並んでいた。

鈴乃は棚の前に飛んで行くと、前屈みになり腰に両手を当てて、まじまじと棚に並んだ箒を見た「へぇー!凄いわね!!箒もこんなに種類があるのね!」

「ふっふっふっ。わしの店の品揃えはこの世界随一じゃからのう」のみの店主の自慢げ

な声が聞こえた。

「う~ん。素人が見ても良くわからないわね」鈴乃は顎に手を当てた。

「まあ、最初は自分の感覚でピピっと来るものを選んでみるのもいいかもしれんのう」

のみの主人はアドバイスした。

鈴乃は中腰になりながら、箒を一本ずつ見て回った「自分の感覚でかぁ~…」

暫く箒の棚を見て回っていた1本の箒の前で立ち止まった。「!」鈴乃は目を細めた。

「ふーん。これ、何かいいわね!」と言うと、その箒を手に掴んだ。

それは、全体が白く柄が少し曲がって、先がアイスホッケーのスティックの様になっている箒だった。

鈴乃は、箒を横にして、早速腰かけてみた。

すると、鈴乃が体重を掛けた瞬間、箒はグッと床に向けて沈みこんだが、一瞬光を放つとふわっと鈴乃を浮かせた。

「何これ、面白いわね!」宙を漂いながら鈴乃が言った。

のみの店主は感嘆の声を上げた「おお、お前さんは筋がいいのう!じゃが、安定して飛ばすのは大変じゃ」

「うん、見た目もいいし乗り心地もいい、これがいいわ!」鈴乃は箒から降りた。

「魔女ジネヴラの箒じゃな」のみの店主は鈴乃が差し出した箒を見た。

「これは、お幾らかしら?」鈴乃は恐る恐る尋ねた。

今回はヒュージ・アルミス・コチレアの財宝があるので、何とかなるか?

「そうじゃな、金貨100ギリニオンでどうじゃ?」のみの店主は切り出した。

「もうちょっと、安くならないかしら?」鈴乃はのみの店主を見つめた。

のみの店主は少し考えたあと答えた「うーん、そうじゃなー、それでは85ギリニオンでどうじゃ?」

鈴乃は俺の顔をちらっと見たので、俺は、やれやれと顔を縦に振った。

鈴乃はニコッと笑った「じゃあ、この箒を買います!」

と言うと、えるから借りたドラゴンの革袋の口を開け、宝箱から金貨を取り出しカチャカチャと机の上に積み上げ始めた「1,2,3・・・・・・・・・・・・83、84、これで85」

「ふむ、確かに」のみの店主は答えた「この箒の取りまわしについてじゃが、まずは、箒を体の一部の様に感じられる様になる必要がある。手や足を動かすのと同じ様に、頭の中でどの様に動かすのか思い描いて飛ばすのじゃ。なかなか難しいとは思うが、これは慣れるしかないのう」

何か、補助なしの自転車に乗る練習に近いのかな?と、俺は心の中で思った。

鈴乃は店の外に出ると早速箒に腰かけふわりと浮かんだ「よし、わかったわ!それじゃ、飛ばすわよ!円正寺君見ててね!」と言うと、はーっと深呼吸したあと体重を前方に掛けた「それっ!」

次の瞬間、箒がシュオッと音を立てて前方に勢いよく飛び出した「きゃあ!」鈴乃は声を上げた。

どんがらがっしゃーんと音がして鈴乃は、ごみ捨て場に突っ込んで行った。


ご、誤字が多いです...(汗)

投稿頻度は大体週一でーす。

よろしくお願いしまーす。


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