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りんけーじ52 屋上の空と美少女幽霊

りんけーじ52 屋上の空と美少女幽霊


階段を上がり、屋上に繋がる扉を開けると、急に日光が迸り、一瞬眼が眩んだが、光に慣れてくると、青い空に中で綿あめの様な雲が、そよ風にゆっくりと押されていた。


「ありがとう、円正寺くん」ヴァールは後ろから俺の袖を引っ張った。「急に大勢の人に一遍に話し掛けられると、どう対応したらいいか困ってしまう」

まあ、わからんではない。「徐々に慣れていけばいいんじゃないかな」

俺は、扉から続く階段に腰かけた。ヴァールも隣に腰かけた。

「ふわぁ、気持ちいい。太陽の匂いがする!」ヴァールがゆっくりと、空に向けて両腕を伸ばした。

ヴァールの横顔をちょっと見ると緑色のショートカットをそよ風が優しく掻き揚げ、笑顔を浮かべる、まるで擦りガラスの様な素肌を日差しが通り抜け、キラキラした陽炎のような影を作り出していた。制服姿のヴァールもカワイイ!

その儚げな美しさに一瞬、俺の時間は止まってしまった。


「ああ、気持ちがいいね!」我に返った俺は左手で庇を作りながら空を見上げ答えた。

「皆さんには迷惑かけるかもしれませんが、これから皆さんと同じ暮らしをしてみたいです。」ヴァールは眩しそうに俯いた。

ヴァールは幽霊になってどれ位の年月を過ごしたのだろう。何十年?下手すりゃ何百年もあのダンジョンで孤独な刻を過ごしたのだろうか?

そんな事がフッと頭を過ると、無性にヴァールをハグしたくなった。

が、脳内に留めた。


「これからも、助けてくださいね」ヴァールはチラッと俺の横顔を見た。

俺は赤くなった頬を隠す様に俯き黙ったまま頷いた「これからも、異世界探検部一員として、皆で一緒の時間を過ごそうよ!」。

ヴァールは大きな瞳をさらに大きく見開き、淡いピンク色の唇を一瞬緩めた。

「さあ、もうすぐチャイムが鳴るから教室に戻ろう」俺はヴァールの肩をポンと叩いて腰を上げた。

「はいっ!」ヴァールも、笑みを浮かべると、スイッチが入ったかの様に立ち上がった。


教室に戻ると、チャイムが鳴った。

授業が始まり、ヴァールの方を見ると熱心に授業を聴いて、ノートを取っている様だった。

ヴァールは授業を理解しているのだろうか?一応、えるの“力”でこの世における高校2年生として存在しているのだから大丈夫だとは思うが..。

ヴァールに気遣っている俺の視線に気付くと、ヴァールはこちらにニコッと微笑んだ。


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