りんけーじ49 散歩♪
りんけーじ49 散歩♪
うーっ、それにしても体がベタベタだ…女子たちが泉から上がったら早く体を流したい、暫く廃れた道を歩いていくと、前方の茂みでガサガサっと物音がした。何事だ?
一瞬ビクっとしたが、暫くその場に立ち止まり茂みの様子を窺ったが、その後シーンと静まりかえった。
用心しつつ歩みを進め、茂みの近くまで来た。
その時、ぽーんと茂みから大きな物が飛び出した。
「うわっ!」俺はとっさに腕で顔を庇いながら、もんどり打ってひっくり返ってしまった。
「いててて….」飛び出した大きなものを見上げると、それは角が4本ある大きな鹿だった。
フーッ、フーッ、と荒い鼻息を立て、頭を下げ鋭い角をこちらに向け、前足の蹄で土を削り、威嚇していた。
ヤ、ヤバイ!あの角で突かれたら、軽傷では済まされないだろう。コメカミから頬に汗が滴り落ちた。何とか逃げよう!
俺は、そーっと立ち上がり、ジリジリと後退りしながら、鹿との間合いを徐々に広げて行った。
―――その時バサバサと草むらから鳥が飛び出した。
鹿が一瞬こちらから注意を逸らした。
今だ!その瞬間、踵を返すと俺は、一目散に逃げ出した。
後ろを振り返ると、鹿は角を振りかざしながら追いかけてきた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」俺は来た道を全力で走った。木の枝を払いのけ、木の根に何度か躓きそうになりながら。
暫く走ったところで、鹿はどうなっただろう?と思い後ろを振り返ってみると、鹿は未だ追いかけて来ている。
「うわっ!」小石に躓きバランスを崩した。
その瞬間急に前が開けた。
「ふわっ?」、俺は宙を飛んでいた。
ドボーン!
次の瞬間、俺は、水中にいた。
何か温かい?
「え?え!?」水中から顔を出すと、そこには、素晴らしい光景が広がっていた。
生まれたまま鈴乃たちが立ち竦んでいた。
「きゃぁああ……….!」「いやぁああ!」「女子の敵!」女子たちの悲鳴が聞こえた。
「あ、あんた!、何やってんのよー!」鈴乃の叫び声が響き渡った。
「ち、違う!こ、これは、散歩していたら、野生のシカに追われて夢中で逃げて、気づいたらこの場所に!」
「どうでもいいから早く出て行ってちょーだい!」鈴乃は、体を手で隠した。




