りんけーじ47 ダンジョンを出る
りんけーじ47 ダンジョンを出る
「うわっ、眩しい!」夜目になっていたので、一瞬視界が真っ白になり何も見えなくなった。
暫くすると、ようやく周囲の物が見える様になってきた。
遺跡の崩れかけた古城は、かなり古いものらしく、大木が城の至る所に生い茂り、今にも崩れ落ちそうな古城を大木が吸収し支えていた。
「う~ん。やっと外にでられた~」あかねが、伸びをした。
しかし、外の空気は、気持ちがいい。
「そうですね」ヴァールが微笑みかけた。
「あれ?ヴァールちゃん、体が透けてない?」あかねがヴァールに言った。
ヴァールを見ると、確かに体が透けてうっすら背景が見えた。
「えへへ、わたし、幽霊のせいか、明るいところに出ると、体全体が透き通ってしまうんです」ヴァールは少し寂しげに答えた。「暗いところでは、普通の人間と変わらないんですが……」
「摩訶不思議なことじゃのう。」凜がえるにしがみついたままヴァールを見た。
ヴァールの案内で遺跡を進むと泉に辿り着いた。
泉は割と大きく沐浴もできるほどだった。
「さあ、じゃあ、服と体を綺麗にしましょう!」鈴乃が泉を見た。
「冷たい!><」あかねが泉の水に手を触れた。
「このまま水浴びをしたら風邪を引きそうね……」すずのが思案し「そうだ!わたしに言い考えがあるわ!」とパチンと指を鳴らした。
「える、火を吹いて水を温めてちょうだい」鈴乃がえるに言った。
えるは凜の顔を見た。
凜は「える。やるのじゃ!」とえるの瞳をみた。
えるは静かに頷くと「では、危ないからマスター少し離れていて下さい」と言うと凜と間隔を開けた。
えるがすぅっと息を吸い込むと、髪の毛がさわさわと逆立ち瞳が怪しく燃え、口が耳元まで裂け牙が現れた。
次の瞬間えるの裂けた口から炎が吹き出した。
えるは顔を左右に振り、炎がひととおり泉を覆った。
炎が治まると、えるは元の美少女に戻り静かに微笑んでいた。
泉を見ると湯気が立ち上っていた。
ヴァールとあかねが泉に近づき、手を差し入れた「わぁー、調度いい感じ」と手を絡めて顔を見合った。
ヴァールの手は透き通っているが、温度は感じられるらしい。
「円正寺くん!とりあえず、お散歩でもしてきてくれないかしら!」鈴乃が人差し指を差し向け、半ば強制的に言った。
「そうじゃ!乙女の入浴じゃ。覗くでないぞ!のう、える」凜が再びえるにしがみついた。
えるは頷いた。
おお、これから美少女たちの入浴か。皆を見ると入浴姿が妄想となり頭をよぎった。
仕方ない、健全な男子高校生の反応である。
「円正寺先輩のスケベ!」あかねは、こちらの妄想を感じ取ったらしく頬を赤らめた。
「べ、べつに、変な事考えてないし~、覗かないし~」俺は咄嗟にその場を離れた。
きっと、素晴らしい光景が広がるに違いないが、覗き見でもしようものなら、鈴乃やえるに八つ裂きにされてしまうだろう。
女性陣が上がるまで、遺跡の周りを歩くことにした。




