りんけーじ46 カタツムリの財宝
りんけーじ46 カタツムリの財宝
「どうしたの?ヴァール」鈴乃がヴァールに問いかけた。
「カタツムリの殻が光ってます!」ヴァールは指さしながら言った。
皆で指さした方を見ると、確かにカタツムリの殻がほのかに光っていた。
「何かしら?」鈴乃は灯りの灯っている杖を、サッと振り上げ「フルゴル!」と叫んだ。
杖から光の粒子が星屑の様に頭上に広がり、羽毛の様にゆっくりと降り注いだ。
照らし出されたカタツムリの抜け殻は、財宝で輝いていた。
「あれは、ヒュージ・アルミス・コチレアの財宝」えるが呟いた。
「やったぁ!ね、凜」鈴乃がウインクして見せた。
凜はニコリと笑い頷いた。
財宝を確認したが、どうにも持ち運べそうにない。
「この財宝をどうするか?」俺が皆に話しかけると、
えるが「これを使って」と、言って小さな革袋を取り出した。
「えっ?」と皆がくびを傾げ、袋とえるを交互に見た。
「これはドラゴンの革袋、中に無限に物が入れられる袋」と袋を持ち上げた。
そう言うと、財宝の許に歩み寄りしゃがみ込むと、袋の口を財宝に向かって開き「アウフレッテ」と呟いた。
袋の口は小さくとても財宝が入りそうな大きさではない。
すると、シュウオオオオっと音を立て、まるで掃除機の様な風が起こり、財宝をその風が引き寄せ始めた。
袋に接近していくと、何かの本で読んだブラックホールに物体が引き込まれる様に財宝は細長く伸び、袋の口から吸い込まれていった。
全部吸い込むと、えるは袋の口を閉めた。
一同は、一連の動作にあっけにとられた。
「まるで、ダ〇ソンの掃除機だな……」
「中に入れるのは分かったわ。取り出す時はどうするの?」鈴乃がえるに問いかけた。
えるは「こうやる!」と言って、袋の口を開け、手を袋の中に入れた。
「手を入れると、袋の中に入っているものが、イメージとして頭の中に映し出される。
その中で、必要なものを思い浮かべ、袋の中で手を握り、引き出す」
と、言って袋から手を出すと、引き伸ばされた宝箱が袋の中から引き出され、元の大きさに戻った。
「へぇー、便利な袋ですねー!」あかねが興味津々と言った感じで目を丸くした。
「次は、身の回りを綺麗にしたいのう」とようやくいつもの口調に戻った凜が言った。
それなら、ダンジョンの地上の遺跡にある泉で体と服を綺麗にするといいですね」とヴァールが答えた。
ヴァールの案内でダンジョンを抜け出し外に出た。




