りんけーじ4 はじめて異世界と仲間
りんけーじ4 はじめて異世界と仲間
何と俺の上には美少女が乗っている!
状況が段々と分析出来てきた。唇がち、近い。両手には何か柔らかい重みを感じた。
それは、その女の子の胸の柔らかい部分だった。
落下してきた彼女を受け止める形で鷲掴みにしてしまっていた様だ。
「わっ!わっ!」状況を理解した俺は、顔が真っ赤になっていくのを感じた。
「痛っつ―――――!」その女の子は大きな目を見開いた。そして俺と目を合わせると、自分の置かれている状況を徐々に把握していった。
女の子も顔が真っ赤になると、大きな瞳に涙が溜まった。
「な、な、何やってんのよ…、いやあああ!!」と叫び、右手を高々と振り上げると、一旦停止し、俺の左頬をロックオンすると、勢いよく飛んできた。
「ぶはっ!」Critical Hit!!頭にお星さまがキラキラ光った。
「不慮の事故とは言え、その..掴んでしまったのは悪かったです、ゴメンなさい」俺はヒリヒリと痛を左頬に感じつつ、覆い被され、制御できない姿勢のまま素直に謝った。
「い、いつまで、触っているのよ!」彼女は涙を浮かべた瞳を閉じ、顔を赤らめ怒った。
「す、すみません、君がどいてくれないと、手が離せないんだけど…」と俺は真上にある顔を見つめた。
「はっ!」と状況を理解したらしく「悪かったわね!今どくわよ!」とその子は怒りと恥ずかしさと、冷静さの入り混じった声で答え、体を引き離し、俺の腹に突き刺さった膝をどけた。
立ち上がると、きょろきょろと自分周囲を見回し、パンパンと服の埃をはたいた。
離れて全体像を改めて見ると、長い黒髪、大きな瞳、そして胸の大きい。いやあ美少女だ。
「でも、なんで俺の上に降ってきたんだ?」と俺が尋ねると、その子は、手に嵌めた指輪を見せ「実は、ミーと言う黒猫に指輪をもらって、言われた通り試したら、この様な状況に…」と答えた。
その指輪は俺の持っているものとはデザインが違い、中の宝石も赤い。
それにしても、あの黒猫指輪をばらまいているのか!
「で、あなたは、ここで何してるわけ!?」と彼女は腕組みをして訝しげに尋ねた。
「俺は、才珠県の私立照桜高校2年円正寺康太って言います。ここに、来たのは―」と言いかけると、
「ええっ私も照桜高校の新2年!名前は、大谷鈴乃」とその子は答えた。
それから、俺は指輪を見せながら、今までの経緯を説明した。
「ふーん。あなたも、指輪をもらったの…、確かに、ここは私達がいた世界とは明らかに別物のようね」そう言うと鈴乃は、辺りを見回した。
―――周囲に集まっていた群衆は2人の様子に飽きると、また何も無かったかの様に街の雑踏に消えて行った。
鈴乃を見ながら、俺は、ここでこんな美少女と、出会えたのも何かの縁だ!もっとお近づきになるにはどうしたらいいかと、下心満々で思案し、何とか2人で行動できないものかと考えた。
そして、勇気を振り絞って言ってみた「あ、あのさ、ここで会ったのも何かの縁だからさ、えーっと、一緒に行動しませんか?」
「ド変態!変なことはしないでよね!!」と鈴乃は腰に両手を当て、頬を膨らませた。
「だから、わざとじゃないよ事故です!事故とは言え触ってしまったのは事実だ。本当にゴメンなさい!」と、俺は直立したまま、腰を90度に曲げた。
そして頭を上げ話を続けた「それにこんな知らない世界で一人きりじゃ心細いし、女性一人じゃ危険だよ!」と、この世界の危険性を力説し、ようやく機嫌を直した鈴乃と一緒に行動することになった。