りんけーじ34 異世界探検部のBBQ
りんけーじ34 異世界探検部のBBQ
その時ガサガサと藪の中から、凜とえるが現れた。「おお、いい匂いじゃな~!もう焼けたか?川に立ちこんでいたら、体の芯から冷えてしまったのじゃ。お腹もペコペコじゃ」
「凜せんぱい、釣れたんですか?」あかねが尋ねた。
「ふっふっふっ、これを見よ!」と言って凜は携帯用のビクを取り出した。
「おお、釣れたんですね!」あかねがクーラーボックスを覗き込むと、20センチ位の魚が1匹見えた。
「イワナじゃ!塩焼きにすると美味いのじゃ」凜は得意げに言った。
「1匹だけか」と俺が言うと、えるが「だからマスター、わたしの魔力も使えば、一網打尽だったんですよ~」と残念そうに言った。
「ばかもの!釣るから価値があるのじゃ。それに取り過ぎては資源が枯渇してしまうじゃろ!」と凜がえるをたしなめた。
そうこうしているうちに、BBQがジュウジュウ音を立てて、肉の焼けるいい匂いが漂ってきた。
「それじゃあ、せんせー!一言お願いします」鈴乃が京子に言った。
「ああ、わたしがか。では、手短に。今日は、異世界探検部の初めての野外活動会となったが、たまにはこういうのもいいだろう!青春の一コマってヤツだ!じゃあ、カンパーイ!」
皆ジュースを手に持ち乾杯した。
「宴の始まりじゃあ!」凜が掛け声をかけた。
「いっただっきまーすっ!」皆が答えた。
「肉うまっ!」鈴乃が、ご機嫌そうに肉を頬張る。
「トウモロコシも甘いですっ!」とあかね
「う~む、やっぱり、野外で食べる料理は最高じゃな!」凜が人差し指を掲げて言った。
「そうですね、マスター!」えるが凜を見て、嬉しそうに笑った。
凜が釣ってきた魚も、塩焼きにした。じゅわっと汁が滴り落ち、香ばしく焼けたところで、皆で一口ずつ頂く事にした。
凜がまずは先生に食べてもらいたい、とのことだったので、岸町京子から口にした。「ふ~む、皮がパリッとして、中身はホクホクでうまいな!」と感想を言った。
そのあと、鈴乃、あかね、える、凜と食べ、皆口々に、おいしいと言った。
最後に俺が食べることとなり、「あと全部、円正寺が食べてよいからな」と凜が言った。
俺は、魚にかぶりついた「う~んやっぱり、川魚は臭みがなくて、塩焼きがサイコーだな!」と感想を言った。凜は嬉しそうに、そうじゃろ、そうじゃろと頷いた。
みんなでBBQを堪能していると、辺りは山の速い夕暮れとなり、太陽の熱から解放された、山頂から漂ってくる空気は、雪の冷たさを身に包んでいた。
「少し冷えてきましたね」あかねが、ぶるっと、肩をすくめて言った。
「焚火のパワーを上げよう!」と俺は言って焚火に薪をくべた。
途端に、火力は強くなり、周囲が暗くなるのと対峙して、ぼうっと辺りを明るくした。
「焚火の火って見ていて飽きないわね」鈴乃が燃え盛る炎を見ながら呟いた。
「そうですよね、何か引き付けられるというか。きっと人類は太古の昔から、この火
を見ていたんだろうな~って」あかねは膝に腕組みをした。瞳に炎がゆらゆらと反射していた。