りんけーじ33 異世界探検部の野外活動
りんけーじ33 異世界探検部の野外活動
「キャンプ場に到着だ」と岸町京子が車を止めた。
「うむ。ようやく着いたな」凜がほっとした顔を浮かべていた。
山の上の方のということもあり、季節が少し逆戻りした様な、遠くの雪山から流れてくる少しひんやりとした空気に包まれていた。周りに木々は萌黄色の若葉を芽吹かせ、春の日差しがキラキラとこぼれ落ちて流れる、透き通った小さな川の畔には、未だ山桜が咲いていた。
「う~ん。気持ちいいわね!」鈴乃が車から降りると、新鮮な木々の香の空気を吸い込み、伸びをしながら言った。
車から荷物を下ろし、川沿いを少し歩いた。川には小さな吊り橋が掛かっており、向こう岸まで渡れた。
小川の流れる音と、小さな野鳥たちの囀りだけの音の世界だった。
凜があかねを引き連れてサングラスにウェーダーという出で立ちで、釣り竿を持って現れた「よしっ!われらは、この川で今日の糧を得るべく魚を釣るぞ」。
えるは「頑張ってくださいね、マスター。いざとなったら、ドラゴンの魔力で一網打尽です」と言った。
「魔法はだめです!」あかねが釘を刺した。
凜は「うむ。では、まず魚の餌となる川虫を取るぞ!」と言いって、網を片手に川に入り川底に網を固定し、上流の石をひっくり返しはじめた。
「おお、この川には川虫が結構おるな!これで釣りができそうじゃ!」と嬉しそうに言った。
ある程度、餌が取れたらしく凜は「では、我々は魚の調達に参る」と言って、えるを連れて、下流の堰堤の方に行ってしまった。
残された俺たちは、BBQの準備のため、火おこしを始めた。
「え~っと、着火剤に火を点け、最初は小枝から燃やして、火が段々大きくなったら、大きな木にっと」何度か焚火をしたことがあったので、何とか着火はできた。
鈴乃とあかねは料理の下ごしらえをしていた。先生は車の運転で疲れているだろうということで、テントで休憩ということになった。
焚火がいい感じになったので、BBQ用のコンロを設置していると、鈴乃とあかねが食材を持ってきた。
「凜とえるはまだ戻って来ないのね?」と鈴乃は辺りを見回した。
「先生は未だ寝ているんですか?そろそろ起こさないとだめですね」とあかねはテントに岸町京子を起こしに行った。
程なく岸町京子がやってきた。「ふわぁ~、良く寝た~!日ごろの疲れが溜まっててな。川のせせらぎと野鳥の囀りですっかり眠ってしまったな」と伸びをした。
「凜とえるもBBQの匂いがしたら戻ってくるでしょう。さあ、焼くわよっ!」
と、鈴乃が食材をコンロに乗せた。だんだん肉の焼けるいい匂いが辺りに漂い始めた。