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りんけーじ3 新学期

りんけーじ3 新学期


 短い春休みはあっという間に終わり、再びいつもと変わらない朝が始まった。

一つだけ違うのは、俺は学校に「指輪」を持って行った。

勿論、手に付けて行けば、即没収されるので、鞄に隠してある。

始業式で、校長先生の長い挨拶を聞き、新しいクラスメートに緊張しながらホームルームを終わると、下校になった。

すぐ帰ろうと下駄箱で靴を履き替えていると、「指輪」のことを思い出した。鞄を開けて確認してみると、やはり怪しく青い炎が燃えている。

ふと、黒猫の「ミー」の話が頭を過った。俺は、踵を返すと一気に校舎の階段を駆けあがり、屋上を目指した。

喘ぎながら薄暗い階段を走り抜け扉を引き寄せると、真っ白な誰もいない屋上に出た。鼓動が速い。俺は両腕を膝に付き、はあはあと肩で大きく呼吸をしながら再度誰もいないことを確かた。

呼吸が落ち着くと、鞄から指輪を取り出し、地面に向かって指輪を軽く投げてみた。

「コーン!」と乾いた音が響き渡り、指輪が地面から回転すると、眩い青色の光が迸り、やがて全体がその光に包まれた。

「あっ!」俺は左手の甲で両目庇った。



―――どれ位、刻が経ったのだろう、数秒?数分?数時間?

土埃と嗅いだことの無い香料の匂い、聴いたこと無いエキゾチックな楽器の音色、ガヤガヤとした人の声と雑踏、獣の咆哮、ガラガラと回る車輪の音が聞こえてきた。

俺は、大通りに立っていた。

「ええっ!?」それは現実世界ではあり得ない、映画やゲームの中でしか見た事が無い様な、光景が広がっていた。

中世の西洋風の街並みが広がり、人間のほかに獣や爬虫類の顔をした亜人たちもいる往来には龍が引く馬車の様な物がガラガラ車輪を鳴らしながら走っていた。

「な、何だよ…ここは?」周囲を見渡し、その異様さに呆気に取られながらも、歩き出そうと右足に意識が集中した時だった。

突如、頭上の空間が裂け、赤い光に覆われた。

ドォーン!!という音と共に何かが俺の上に降ってきた。

「きゃああ!」落ちてきたものが叫ぶ。

「ぐはっ!!」俺も、胃に何かがめり込み、息が詰まった。

何事かと、周りの人々が集まってきた。

「あいたたた…」俺は状況把握のため、ゆっくりと目を開け、仰向けに倒れた俺の上に降ってきたものを確認した。

それは、良い香りがする、さらさらとした黒い…髪?が俺の顔にかかる。

長い睫毛、そしてはぁはぁとかわいい息を吐く柔らかそうな唇…かわいい顔?が俺の鼻の数センチ上にあった。

そして腹部には、彼女の左膝がめり込んでいた…


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