りんけーじ297 ブラックホール
りんけーじ297 ブラックホール
そこは、得体のしれない世界だった。
全ての物が吸収され、光さえも脱出できない、暗黒の世界。
2頭の竜は、吸い込まれるまま、前へ前へと進んだ。
そのうち、どちらが、前でどちらが後ろなのかもわからなくなった。
「親分大丈夫ですか?」マリスがえるに声を掛けた。
「ああ、私なら大丈夫だ」えるの声が聞こえた。
「この、暗黒は、一体どこまで続くのですか?」えるはマリスに質問した。
「わらわにも、わかりまへん。ただ、終わりには光が見えてくるはずなんやけど」マリスは、自分たちが吸い込まれる先の方を見た。
「そうですか」えるは不安な気持ちを振り払うかのように、翼をはためかせた。
出口もわからぬ暗黒の世界が無限の様に続いた。
「あっ!」突然マリスが叫んだ。
「どうしたんですか、マリス?」えるはマリスに尋ねた。
「親分、前、前!」マリスが返した。
えるも前方に、注意深く目を凝らした。
そこには、小さな白い点が見えた。
それは、暗黒の空間にキラキラと輝く宝石の様だった。
「あれが、出口ですか?」えるはマリスに聞いた。
「そうや!あれが、ホワイト・ホールや!」マリスは嬉しそうに答えた。
マリスの言ったように白い点は徐々に大きくなり、周りも明るくなってきた。
やがて、そこには、暗黒と光輝く2つの世界がくっきり分かれて、広がった。
恒星がちりばめられていた。
吸引力も弱くなり、そこには、ブラックホールに吸い込まれたものが、広がっていた。
「さあ!ここからが大仕事や!」マリスはそう言うと、竜の袋から、巨大な針と糸を2個ずつ取り出した。
「親分!これからあの出口を縫うで」マリスは、針と糸を1つずつえるに渡した。
「これは、魔法の針と糸。自分が縫おうとしたものは、何でも縫えるんや」マリスは、針に糸を通した。
「親分は、こっちから、ぐるっと回って縫ってもらいたいんや。わらわは、反対から縫うさかい」マリスは、黒いカーテンの様に広がるブラックホールの境界を羽ばたきながら、ぬい始めた。
「わかりました」えるもそう言うと反対側の境界を縫い始めた。
えるも、最初は戸惑っていたが、徐々にスピードをつけて縫えるようになってきた。
2頭の竜が取り掛かると、あっという間に縫い終えてしまった。
「さあ、口を縛るで!」マリスは、糸を袋の様に手繰り寄せて行った。




