りんけーじ28 ドラゴンの宿りしペンダント
りんけーじ28 ドラゴンの宿りしペンダント
俺たちは街に戻り、のみの店主の武器店に行った。
入口を潜ると、相変わらずどこにいるのかわからない。
「こんにちは!」声を掛けると「なんじゃお前さん方か」と店主の声がした。
「今日はなんじゃ?」店主は続けた。
「実はこのコの武器を捜しにきたの」鈴乃が凜を指さした。
「交換する財宝はこれだ」と言って、俺は机の上にドカッと宝箱を置いた。
「どれどれ、おお、今回はダイヤに金貨か!お前さん方、アイテムをうまく使いこなしているようじゃな」とノミの店主は嬉しそうな声が返ってきた。「で、今回は何を買いに来たのじゃ?」店主は訊ねた。
凜は辺りをきょろきょろと見回した「われに合う、弓と矢じゃ」
「弓と矢か…。これだけあれば、エルゴンドラ・ドラゴンが宿るペンダントはどうじゃ?」とノミの店主は言った。
「何じゃそれは?」凜は瞳を輝かせた。
「53番目の陳列棚の上から3つ目に、トルソーに掛けてある紫色のペンダントがあるんじゃが、それを持って来てくれんか?」
あかねは知った風に、ぶら下がっている木板に53と書きコンコンと木槌で叩いた。
「凜さんここですよ!」と鈴乃が凜を案内した。「はぁぁぁ…」と、呆気に取られている凜を尻目に、あかねは一番そばの木棚に案内した。上から3段目の棚を見るとトルソーにまるでドラゴンの瞳の様な紫色の宝石を湛えたペンダントが掛けてあった。
「ふむ」凜が手に取ると、ペンダントは一瞬燃える様な紫色の光を放ち、空気が震えた。
「ほー!お前さんは、適正がある様じゃな」ノミの店主は驚いていた。
「して、どの様に使うのじゃ?」凜はノミの店主に訊ねた。
ノミの店主は説明した「この、エルゴンドラのペンダントには、エルゴンドラ・ドラゴンが宿っておる。して、そのペンダントを手にした者が、エルゴンドラ・ドラゴンの主として、ふさわしいと認めたとき、宝石は光るのじゃ。さっきのがそうじゃ」
凜は静かに聞いていた。
ノミの店主は続けた「ドラゴンが主と認めれば、後は主の思いのまま、背中に乗って空を飛ぶこともできるのじゃぞ。ドラゴンを呼び出すときは、エグゼオと言ってペンダントを撫でるのじゃ。戻すときはレディと言って、ペンダントを撫でるのじゃ。ドラゴンに命ずるときは、呼びかければよい。ドラゴンは主の心の声を聴き命令に従うのじゃ。これも世界に二つとない、貴重なペンダントじゃよ。ドラゴンを出すのは、店の外でやってくれ、ここでやられて、店が壊れては、かなわんからのう。」
凜は、ぽかーんとした顔で聞いていた。 「わ、わたしがドラゴンを使い魔にできるの?」「す、すごいじゃない、ちょっと!」
喋り方が普通になってんじゃねーか、と俺は思った。
「マスター凜さん、すごいですっ!」あかねが興奮して凜にしがみついた。
「じゃあ、凜はドラゴン使いと言うことでいいわね?」と、鈴乃が凜を見た。凜は頷いた。「で、お幾らかしら?」鈴乃はノミの店主に問いかけた。
「今回もおまけして、宝石全部じゃな」ノミの店主は言った。
「わかったわ。いいわね」鈴乃は皆に確認した。無論異論はなかった。