あたたかなマシュマロ
りんけーじ274 あたたかなマシュマロ
何とか部屋まで戻った俺は、湯あたりと湯冷めした様で、その場にフラフラと倒れこんでしまった。
俺は夢を見ていた。
果てしなく広がる雪原の真ん中で俺は、凍えていた。
体が冷たくまるで、氷の様だった。
俺はガタガタと震えが止まらなかった。
しかし、氷原はほんのりと暖かくなってきた。
白い氷の塊はいつしか暖かくて柔らかな、マシュマロになっていた。
大きなフカフカのマシュマロの上を俺は飛び跳ねている。
なんて柔らかいんだろう。
俺はコロコロと転がった。
「まったく、世話が焼けるわね」と鈴乃の声が聞こえた。
「あれ?俺どうしたんだろう?」俺は、必死に思い出そうとした。
確か、男湯で、女性体になって、慌ててお湯の中に潜って、必死になって、泳いでいたら、何故か鈴乃たちがいて、部屋に連れて行ってもらったら、意識が遠のいて…
何で、マシュマロなんだろう?
「温まった?」鈴乃の声は何故か耳元で聞こえた。
鈴乃の吐息を、鼓動を感じた。
「俺は、もう少し寝る」と答えた。
「そう。じゃあ、ゆっくりおやすみなさい」鈴乃は小さい声で囁いた・
俺は、ウトウトと眠りについた。
次に目が覚めたのは、朝になってからだった。
ちゅんちゅんと小鳥の鳴く声で目覚めた俺は、朝の光が眩しく、目の前に鈴乃が立っていた。
「う~ん」と声を上げ、上掛けを被った。
「熱は下がった様ね」鈴乃の声がした
「どうも…ありがとう」俺はモゴモゴと上掛けの中から言った。
「まあ、いいわ」「それで、具合はどうなの?」鈴乃が耳元でささやいた。
「うん、だいぶ良くなった」俺は上掛けの中から答えた。
「そう。よかった」鈴乃の安心した声が聞こえた。
「もう、起きられる?」鈴乃は自分の腰に手を当てた。
「うん」俺はそう言うと、上掛けから顔を出した。
「昨日はいきなり倒れるから、どうなることかと思ったわ」鈴乃が心配そうに言った。
「心配かけてゴメン」俺は鈴乃に謝った。
そして、昨日鈴乃がどうしてくれたのか、詮索しなかった。




