りんけーじ263 フェンリルと針ヶ谷 麗奈
りんけーじ263 フェンリルと針ヶ谷 麗奈
一瞬静寂が流れた。
ドサッと音がした。
それは、フェンリルが倒れ込んだ音だった。
フェンリルの遠吠えは、ヴァールをかすめた。
「グハッ!」フェンリルは大ダメージを食らっていた。
「クッ!ここまでか!さあ、殺せ」息が荒いフェンリルは頭をもたげた。
「もう勝負は着きました」ヴァールは答えた。
「魔王軍幹部のわたしに、とどめを刺さないと言うのか?」フェンリルは問い質した。
ヴァールは頷いた。
「この後、わたしは、どうすればいいのだ!」フェンリルは叫んだ。
ヴァールはフェンリルの方を見た「魔王軍幹部としてのフェンリルはもうこの世にいません」。
「これからは、自分の道を生きていきなさい」ヴァールは続けた。
「自分の道とは?」フェンリルはヴァールに問いかけた。
「お前も、この世界に興味があって来たのではないですか?針ヶ谷 麗奈という女子高生として生きていくのはどうでしょう」ヴァールはフェンリルに提案した。
「う~む」フェンリルは唸ると女子高生の姿になった。
「これでいいの?」フェンリルは立ち上がると。髪の毛をすくいあげた。
ヴァールはニッコリとほほ笑むと頷いた。
ヴァールは、針ヶ谷 麗奈に近づくと、服に着いた汚れを落としてやった。
「ありがとう」針ヶ谷 麗奈は、ヴァールに礼を言った。
「さあ!行きましょう」ヴァールは針ヶ谷 麗奈の手を取った。
「あのっ。一つお願いがあるのですが」針ヶ谷 麗奈は顔を赤らめると、ヴァールにお願いした。
「何でしょう?」ヴァールは尋ねた。
「わたしと、友達になってくれませんかっ!?」針ヶ谷 麗奈は長い髪を振り下ろしながら、ペコンっと頭を下げた。
ヴァールは一瞬驚いた顔をしたが、ほほ笑んだ。
「もちろん!麗奈さん」ヴァールは首を縦に振った。
「わあぁ」針ヶ谷 麗奈の顔がぱあああっと明るくなった。
「さん付けはやめてください」針ヶ谷 麗奈はちょっと、ふくれっ面になった。
ヴァールはハイハイと頷いた。
「さあ!文化祭に戻りましょう!」すべてが完了したのを見届けて、鈴乃が提案した。
「そうですね!さあ!麗奈」ヴァールは、針ヶ谷 麗奈の手を引っ張った。
「はい!ヴァール」麗奈嬉しそうにほほ笑んだ。




