りんけーじ260 刻の支配者
りんけーじ260 刻の支配者
「ぐはぁ」えるは、全身から血を噴き出した。
「なんじゃ、何があったんじゃ!!」凜はうろたえ、慌ててえるを抱き支えた。
「その攻撃は私には通じん」フェンリルはあざ笑った。
「大丈夫?えるちゃん!」あかねがすぐに治癒魔法を施した。
「ならば、これでどうや!」マリスが前に出た。
「リズ・マリス・ダエ!」マリスがそう叫ぶと、マリスの体が金色に輝き、その光がフェンリル目掛けて解き放たれた。
「無駄だと言っているだろう」フェンリルはそう叫ぶと「スブシスト・テンポス」再び術を唱えた。
「クッ!」次の瞬間、マリスは片膝をついた。
見ると、右わき腹から血を流していた。
「一体どうしたの?アイツは一歩も動いてないのに」あかねは治癒魔法をマリスにも施した。
「どうした?攻撃するほど傷ついているではないか?」フェンリルはニヤッと笑った。
「お前たちの攻撃では、どうあがいても、私は倒せん」フェンリルは高笑った。
「何故、あんなことができるんだろう?」俺は鈴乃に問いかけた。
「あかねの言う通り、アイツはこちらが術を仕掛けた瞬間に、即座に何らかの術を唱えている。カウンター?あるいは…」俺は考えた。
「或いは何らかの時間操作」鈴乃が答えた。
「そうだ!きっと、アイツは時間操作ができるに違いない!えるやマリスが攻撃を仕掛けた時、一瞬時間を止め、その間にヤツは反撃に出る」俺は頷いた。
「どうやら、気づいたようだな。わたしは刻を操る」フェンリルは不敵に笑った。
「どうすれば、アイツに対抗できるでしょうか?」ヴァールが尋ねた。
「どうすれば、ヤツの技を封じ込められるのか?」俺は考えた。
「アイツの攻撃パターンはこちらが攻撃を仕掛けた瞬間に発動する、カウンター系の術なのか?時間を止められている間は、こちらは、無防備になり、されるがままになってしまう」俺は更に考えを巡らせた。
「例えば、アイツに時間を止めさせないことはできるんだろうか?」俺は鈴乃に尋ねた。
「アイツの術式を発動させないことね」鈴乃が答えた。
「例えば、口を塞ぐとか」鈴乃は続けた。
幸いヤツの口は狼の様に尖っているので、何らかの方法で、布を巻くなどして、術式を唱えさせないことはできるかもしれない。
では、どうやって、ヤツに近づく?
「ちょっと待ってください!」ヴァールはそう言うと「時間を止められた世界の中でも、幽体である、わたしなら少しだけなら動けそうです!」と提案した。




