りんけーじ259 フェンリル
りんけーじ259 フェンリル
「どうなんや?」マリスは更に針ヶ谷 麗奈に詰め寄った。
「フーッ」と針ヶ谷 麗奈は息を吐いた。
「ここまでは、うまくやっていたのに。ちょっと、抜けてた様ね」針ヶ谷 麗奈はうつむいた。
「ええっ?」あかねは意表を突かれた。
「お前は一体何者や」マリスは針ヶ谷 麗奈に問い質した。
「私の本当の姿がそんなに見たいか?」針ヶ谷 麗奈は、顔を上げると、マリスの方を見た。
あかねは固唾を飲みこみ見守った。
「ウォオオオ」針ヶ谷 麗奈はうめき声をあげると、顔は、前方に伸びて行き、歯も牙になっていった。体は毛むくじゃらになり、体が膨れ上がった。
制服はバリバリと音を立てて引き裂け、指の先からは、鋭い爪が伸びて行った。
針ヶ谷 麗奈は、やがて大きな狼に姿を変えた。
「きゃあ、何あれ?」「助けて!」にゃんにゃん喫茶はパニックになった。
「ヴァール!お客さんたちを誘導して!」鈴乃がヴァールに声を掛けた。
「はい!」ヴァールは頷くと、冷静に客を出口に誘導した。
「我が名はフェンリル。魔王軍幹部の一人。こちらの世界を偵察しにやってきたのだ!」針ヶ谷 麗奈は、本性を現した。
「出たな!フェンリル!」マリスは身構えた。
「マリス!ここでの戦いは犠牲者が出るわ!何とかフェンリルを異世界に移せないかしら?」鈴乃は、マリスに合図した。
「せやな!先ずは、戦っても安全なところに移動させるか!」マリスは相槌を打った。
「転移魔法!」マリスはそう叫ぶと、空中に魔法陣が現れ、フェンリルと俺たち異世界探検部のメンバーは魔法陣に取り込まれていった。
俺たちは、まばゆい光に包まれた。
やがて、光が消えると、俺たちは、見渡す限り続く草原の中に立っていた。
「ここはどこじゃ?」凜がマリスに尋ねた。
「ここは、無人の異世界空間や!」マリスは答えた。
「愚かな!私と、戦うのか?」フェンリルは高らかに笑い声を上げた。
「そう言っていられるのも、今のうちじゃ!」「行くぞ、える!」凜はそう言うと、えるに攻撃を促した。
「はい!ますたー!」えるは頷いた。
「これで終わりじゃ!える!ドラコ・フランマ」と叫んだ。
えるは強烈な火炎を口からフェンリル目掛けて吹き上げた。
「スブシスト・テンポス」フェンリルはその瞬間叫んだ。




