りんけーじ248 襲撃
りんけーじ248 襲撃
「村人が供物を寄こさない様になってからは、食うや食わずで、このあり様だ」イヌガミの少女は再び肉にがっついた。
「随分伝説とは異なるのね」鈴乃は腕組みした。
「今一番憂慮すべきは、魔の物と化したヤマイヌの子だ」イヌガミは肉をほおばりながら目をつぶった。
「そのヤマイヌの子とやらは現在どうなっているんじゃ?」凛が尋ねた。
「私にも、わからんが、噂では、この辺りの魔族の首領となり、色々と悪さをしている様だ」イヌガミは眉をひそめた。
イヌガミの少女は食べる手を止めた。
「・・・お願いだ。お前たちの手で、生きる屍と化したあの者を成仏させてほしい」イヌガミは瞳に涙を浮かべて鈴乃に懇願した。
鈴乃は、マリスの方を見た。
マリスは静かに頷いた。
それを見たイヌガミの少女は安心したように、再び肉を食べ始めた。
みんな食事を終えると、火を絶やさないようにしつつ、焚火を囲んで、各々眠りについた。
夜半を過ぎたあたりだろうか、俺は、突然犬の遠吠えで目を覚ました。
辺りを見回すと、焚火がちろちろと燃え、他の者が眠る中、イヌガミが起き上がり、聞き耳を立てていた。
「ヤツだ」イヌガミは起き上がった俺を認めると話しかけてきた。
「ヤマイヌの子か?」俺はイヌガミに尋ねた。
イヌガミの少女は頷いた。
俺はみんなを起こした。
「一体なんじゃと言うんじゃ」凜が寝ぼけながら文句を言った。
「ヤツが現れたらしい」俺は説明した。
あかねは、火に木をくべて炎を大きくした。
突然何者かが、焚火を踏みつけ、かき消した。
「きゃっ」あかねは、思わず声を上げた。
辺りは混乱し、みんな慌てふためいた。
えるは、破壊光線を吐き出そうとしていた。
「皆落ち着いて!」鈴乃が叫んだ。
「える!破壊光線はダメよ!みんなが巻き添えになっちゃう」鈴乃はえるを制止した。
「ルクス!」鈴乃は、杖を振り上げた。
杖の先端が明るく灯った。
焚火をかき消した何者かにその光を向けた。




