りんけーじ247 村が滅んだ理由
りんけーじ247 村が滅んだ理由
「―――で、あんたが、イヌガミ?」鈴乃は肉を貪る少女に尋ねた。
「う、うん」少女は首を縦に振った。
「かつて、ここにいた村人は私の事をそう呼んでいた」少女は続けた。
「なんで、村を滅ぼしたの?」鈴乃はイヌガミに問い質した。
イヌガミは食べる手を止め、鈴乃の方をチラッと見た。
「滅ぼした?私がか?」
「伝説では、そう伝えられておるんや」マリスが説明した。
「はぁ?わたしは、こう見えても、神の一柱だぞ。なぜ村人を滅ぼさなければならんのだ?」イヌガミははんろんした。
「村人が供え物をよこさないようになってから、怒ったイヌガミが狂犬病を流行らせ、作物も凶作にさせ滅ぼしたとか」鈴乃が伝承を伝えた。
「わたしがか?」イヌガミはあっけに取られた。
「じゃあ、どいうことなの?」鈴乃は説明を求めた。
「ふん」というとイヌガミは説明を始めた。
「ご存じの通り、ここは魔物が蔓延る不毛の土地だ」
「この森で魔物と戦っていたわたしは、ある時この村にたどり着いた」
「この村も瘴気に覆われ、作物は育たず、人々は病に苦しんでいた」
「これは、捨てておけないと思ったわたしは、この村を救おうと思った」
「しかし、私の力は度重なる魔物との闘いでかなり衰えていた」
「―――神の力を高めるものは何だと思う?」唐突にイヌガミは鈴乃に質問した。
鈴乃はすかさず答えた「神を信じる力、つまり、信仰心ってことね」
イヌガミは頷いた。
「そこで、ある晩私は、村人の夢枕に立ち、私の祠を立て、豊作の時は、作物の一部を貢物として供える様に伝えた」
「これを信じた村人たちは、私を信仰するようになった」
「そのおかげで、私の力が増し、魔物たちとの闘いに勝利し、この村を覆っていた瘴気を打ち払うことができた」
「瘴気が無くなったことで、土地が豊かになり、村も潤沢になった。
「村は、益々栄えた。しかし、いつしか私に対する信仰心は失われ、それと共に私の力も徐々に衰えて行った」
「私の力が衰えたせいで、魔物たちの勢力が力を盛り返し、再びこの村は瘴気で覆われてしまった。
「わたしも、このままでは、マズイと思い、ヤマイヌの子を使いに向かわせたが、村人は殺してしまった。ヤマイヌの子は魔の者として蘇り、村に病を流行らせた」
「そして、村は滅んだ」




