表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
246/295

りんけーじ246 イヌガミ

りんけーじ246 イヌガミ


ジュウジュウと肉の焼ける煙が辺り一面に広がった。

「いただきまーす」あかねが肉にかぶりついた。

「う~ん、外はこんがり、中はジューシー、塩と胡椒だけで、うまみが引き出されて、肉も柔らかく、野外で食べると、更に美味しさがさらに倍増しますね」

「うむ、たくさん食べるとよいぞ!」凜は満足気に言った。

「ほんとに、美味しいお肉ですね」ヴァールも肉をほおばった。

「ガサガサ」

その時だった。何かが草むらを揺らした。

「ぎゃあ~!出た~」凜は叫ぶと、えるにしがみついた。

「何?」鈴乃は、音のする方へ声を掛けた。

草むらの中で、二つの光が怪しくゆらめいた。

「出たな、イヌガミ!しばいたる!」マリスが、腕をまくった。

「みんな気を付けて!」鈴乃は左手に杖を持ち、右手でみんなを制止した。

二つの光はフラフラと焚火に近づいてきた。

俺も固唾を飲んで光の行方を見守った。

すると、突然パタッと音がして、黒い影が倒れた。

「…ものを…」黒い影が喋った。

黒い影は焚火に照らされていた。

よく見ると、ハーフコートに、毛皮の着いたフードを被っていた。

ハーフコートの裾からは、大きな尻尾がのぞいていた。

「食い物を、くれ…」イヌガミは両手を伸ばすとじたばたした。

「何をやっているんや!イヌガミ」マリスが声を掛けた。

イヌガミは、フードを下ろした。

後ろで赤い髪の毛を束ねた姿だった。

顔を上げると、太い眉毛で目の前ぱっちりした、鼻は小さく、犬歯の大きい美少女だった。

「お、おなかがすいて、力が出ん、食べ物をくれ」イヌガミは、鈴乃の持っている肉を見ると、ヨダレを拭った。

「状況が良くわからないけど、イヌガミは少女で、おなかをすかせているのね?」鈴乃はイヌガミに確認した。

イヌガミは頷いた。

「どうしようかしら?」鈴乃はマリスに確認した。

「せやな…まあとりあえず、食い物を与えて、話を聞いてみるのが、ええかも知れんな」マリスは答えた。

「じゃあ、ほら、これ食べなさい」鈴乃は、自分の持っている肉をイヌガミに差し伸べた。

イヌガミは鈴乃から、肉を受け取ると、「いただきましゅ」と言いながらガツガツと食べ始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ