りんけーじ235 アシュフォードの剣
りんけーじ235 アシュフォードの剣
「だってどう見たって、おかしいでしょ!あんなに地面が掘り起こされてるし、これぞ罠って感じだし!」俺は思わず叫んでしまった。
鈴乃は俺の方を見た。
「確かに―――」「確かにおかしいし、不自然だと思うわ」鈴乃は続けた「でも、今回この森に入ったのは、私たちの強化のためでしょ。だから、わざとヤツの懐に飛び込んで闘いを挑むのよ」
「ちょ、ちょっと、待った!」俺は鈴乃に反論した「この森に入ったのは、確か鈴乃さんの魔法強化のためだったよね?」
「あら、そうだったかしら?」鈴乃は右手の人差し指を顎に置いて首を傾けた。
「だから、やだやだやだやだ!」俺は地団駄を踏んだ。
「もう、多数決で決まったことだし、アイツにとどめを刺せるのは、あなたの電撃攻撃しかないの」鈴乃は俺の肩を両手でつかんだ。
「私たちを助けて」鈴乃はうるうるした目で俺を見つめた。
「そんなこと言ったって、結局ヤツと戦うのはオレじゃないか!そんなのやだやだやだ」俺は断固拒否した。
「ちゃんと、私たちがフォローするから安心して」鈴乃は俺の両手を掴んだ。
「わたしも、ディフェンスします」あかねが自分の胸に手を置いた。
「わたしも、四大精霊で、サポートします!」ヴァールも俺を見つめた。
「我らは、竜の力でヘビなぞ、蹴散らしてやるわ!のう、える、マリス」凜はえると、マリスの肩をポンポンと叩いた。
「みんな…」俺はみんなを見た。
「そんなことで、だまされないぞ!結局最後にアイツと戦うのは俺じゃないか」俺は、人差し指を前に出した。
鈴乃は、音の出ない口笛でごまかした。
「そこを何とか、お願い!」鈴乃は、俺に懇願した。
「それにヤツを倒せば、スーパー・ジャイアント・スネーク・スレイヤーの称号がもらえるわ」鈴乃は、瞳をキラキラとさせた。
みんなが俺を見つめた。
しばし、俺は考えた。
「わかった、わかったよ!直進しよう!」
俺は、釈然としなかったが、鈴乃の甘言に踊らされたわけでも、スーパー・ジャイアント・スネーク・スレイヤーに踊らされたわけでもなく、純粋にこのアシュフォードの剣の力を信じてみたくなったので、みんなの意見を受け入れた。
ただそれだけだった。




