りんけーじ231 湖の巨大なヘビ
りんけーじ231 湖の巨大なヘビ
やがて、ロック鳥は見えなくなった。
「かわいそうに…」鈴乃は憐みの視線を送った。
溶岩は更に降り注いでくる。
「早くここから脱出しないと、我らもロック鳥の二の舞じゃ」凜がえるを上手く操縦しながら言った。
えるとマリスも巧みに、溶岩を避けていたが、大量に降り注ぐすべてよけきれるはずもなかった。
あかねも、防御シールドを展開していたが、それをすり抜けてくる火山弾もあり、えるもマリスも羽根に傷を負っていた。
俺たちは、次々と落下してくる溶岩を潜り抜けながら、命からがら危険地帯を突破した。
火山地帯を抜けると、大きな湖に出た。
「あそこで、一休みしましょう」鈴乃がみんなに声を掛けた。
ちょうど、湖のほとりが砂浜になっている場所があった。
えるとマリスはその砂浜にゆっくりと舞い降りた。
俺たちは砂地に降り立った。
えるとマリスの羽根は溶岩で焼かれ、痛々しそうな傷があった。
あかねは、その傷の手当をした。
あかねのヒーリングを受けるとえるも、マリスも気持ちよさそうに、羽根を休めていた。
「それにしても、静かなところだな」俺は、あたりを見回した。
寄せては返す波の音のみが響き渡る場所だった。
「静かすぎるわね」鈴乃は奇妙な静寂感を感じ取っていた。
と、後ろの茂みがガサガサとなった。
みんなびっくりして振り返ると、一頭のシカが現れた。
「なんじゃシカか、驚かせおって」凜は安堵のため息を漏らした。
シカは恐る恐る警戒しながら、湖のほとりまで来ると、水を飲み始めた。
すると湖の中央の方から波紋が広がった。
次の瞬間、水中をうねる巨大な影がもの凄い速さでこちらに近づいてきた。
そして、水面が盛り上がったかと思うと、シカを湖に引きずり込んだ。
辺りは何もなかったかのように、静けさを取り戻した。
ほんの一瞬の出来事で一同あっけに取られた。
「何あれ?」ヴァールが叫んだ。
一瞬見えたそれは、黒光りする体に、緑の模様が入った巨大なヘビだった。そのヘビは湖に入る時に俺たちを一瞥した。
「あれは、バナコンダやな」マリスが答えた。
「あいつも魔獣や。確か湖に住むという。しかも、厄介なことに一度見た獲物は絶対に逃さないという、習性をもっとるんや」
「と、言うことは」「わたしたち、見られたじゃないですか」あかねが泣き叫んだ。




