りんけーじ229 俺の人形
りんけーじ229 俺の人形
ロック鳥は俺の人形の上におなかを乗せ温め始めた。
しばらくすると、ロック鳥は目をつぶって、眠り始めた。
「さあ!今のうちに逃げるわよ!」鈴乃が小声で言った。
俺たちは、そっと岩陰を抜け出した。
「ロック鳥が見えなくなるところまで歩いて、あとはえると、マリスに乗って戻りましょう」先頭を歩く鈴乃は、振り返った。
ロック鳥はまだ寝ていた。
俺たちは抜き足差し足ロック鳥から遠ざかった。
その時、ロック鳥がふと目を覚ました。
ロック鳥は自分のおなかの下にある俺の人形を認めると、安心した様だった。
そして、鋭いくちばしで俺をそっと愛撫しようとした。
「あっ!」鈴乃が叫んだ。
「それはだめっ!」
ロック鳥のくちばしが俺の人形に当たった途端、人形はパチンという音と共に弾け飛んでしまった。
「だからだめって、言ったのに!」鈴乃が悲痛な声を上げた。
どうやら、俺の人形は風船の様なものでできていたらしい。
俺の人形が消えてしまうとロック鳥は、最初は何が起こったか訳が分からない様だったが、あたりをキョロキョロと見回して、慌てて俺を探し始めた。
「こうなったら、仕方ない全力で逃げるわよ!」鈴乃の掛け声と共に俺たちは駆け出した。
「もうロック鳥は見えませんね」あかねがハァハァと息を切らした。
「じゃあ、えると、マリスに乗り込みましょう」鈴乃はえると、マリスに合図した。
えると、マリスはドラゴンにメタモルフォーゼした。
俺たちは、えるに凜と鈴乃、あかね、マリスに俺とヴァールが乗り込むと飛翔した。
巣には俺がいないと悟ったロック鳥は「キェー」と悲しそうな声を上げると、巣から飛び立って俺を探し始めた。
ロック鳥は、巣から少し離れたところを滑空する見慣れないドラゴン2頭を見つけた。
そして、マリスに俺が乗っていることに気が付いたロック鳥は、「キュウー」と嬉しそうな声を上げると、大急ぎで接近してきた。
「ヤバイ、ヤバイぞ」俺は叫んだ。
「しっかり、つかまっとき!」マリスが飛ぶ速度を速めた。
ロック鳥も負けじと速度を速めた。
やがて、ロック鳥の影がマリスの上を覆った。
マリスはすかさず急降下を試みた。
ロック鳥も急降下を始め、鋭い足の爪がグングンと俺に迫ってきた。




