りんけーじ228 巣の脱出計画
りんけーじ228 巣の脱出計画
ロック鳥は、しばらくすると、巣から離れてどこかに飛び去って行った。
「う~ん、いっそこのまま、ロック鳥に育てられた方がいいんじゃないかしら?」岩陰に隠れている鈴乃が顔を出した。
「ちょ、ちょっと、待ってくれ!」俺は慌てた。
「そうじゃな相思相愛ということで」凜が同調した。
「そんなこと言わず助けてくれ!」俺は懇願した。
あかねはクスクス笑っていた。
「冗談は置いておいて、ロック鳥がいない間に、円正寺君を何とか救出しないとね」鈴乃は空を見上げた。
「今は、ロック鳥は見えへんけど、あいつは目が良くて、円正寺さんが、いなくなると、また大急ぎで連れ戻しに来るで」マリスはロック鳥の特性を説明した。
「どうすれば、ロック鳥から逃げられるかしら?」鈴乃は考えた。
「そうじゃなー、何かオトリになるものがあればのう」凜は腕組みした。
「円正寺さんがもう一人いればいいのに」ヴァールがつぶやいた。
「オトリ、もう一人…」鈴乃は考えを巡らせた。
「そうだ!」鈴乃はパチンと指を鳴らした「わたしに、いい考えがあるの!」。
「どんな、考え何ですか?」あかねが尋ねた。
「ちょっと、見てて!」鈴乃は魔法の杖を取り出すと、呪文を唱えた「アチープ・エクセンプル・トゥーム・円正寺!」
すると、杖の先から光があふれ出し、光は小さな玉となり、もこもこと大きくなっていった。
「何を、作っておるんじゃ?」凜が尋ねた。
「まあね!」鈴乃は続けた。
もこもこと大きくなった光はやがて、ヒト型となり、俺そっくりになった。
「おお、円正寺さん2号!」あかねが叫んだ。
「本人に瓜二つじゃの!」凜は出来上がった人形をまじまじと見た。
「これを、巣にいる円正寺君と交換しましょう!」鈴乃は出来上がった人形を持ち上げた。
幸いロック鳥はまだ戻ってくる気配はなかった。
「さっ!今のうちに」鈴乃は俺のいる巣に近づいてきた。
「せーのっ!」と掛け声と共に俺の人形をロック鳥の巣に置いた。
「さあ!円正寺君今のうちに」俺は鈴乃に促されて巣を飛び出した。
そして、岩陰に隠れた。
ちょうど、その時ロック鳥が戻ってきた。
ロック鳥は俺の人形を認めると、ゆっくり巣に舞い降りた。
そして、俺の人形に頬ずりした。
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