りんけーじ22 次の目標
りんけーじ22 次の目標
駅までの通学路を歩き、駅前のワックに着いた。
駅前のワックは2Fに上がると、高校生で8割方埋まっていた。
窓側の4人席に座った。窓の外は紫色の空に星が瞬き始め、車のヘッドライトの光が流れていた。
「ハンバーガーおいひいでふっ」あかねが、頬張りながら言った。
「ホント、お腹減ったわ!」鈴乃もフライドポテトを1本つまんだ。
「しかし、今回もヤバかった。でも相変わらず、鈴乃の魔法の杖の力は凄いね」と俺はハンバーガーを食べながら言った。
鈴乃は腰に両手を当て「ふっ、ふーん、凄いでしょ!」と、得意そうに言った後、両掌を裏返し首を振りながら「でも正直な話、未だあまり上手く使いこなせていないのよね…」と呟いた。
「いいなっ、いいなっ!わたしも早く使ってみたいな!」あかねが、両手を広げポーズを取りながら言った。
「あかねちゃんには、きっと助けられると思うから、その時はよろしくね」鈴乃がウィンクしながら言った。
俺は容器を手に持ちストローから、アイスコーヒーを飲んだ「今度はどこに行こうか?」。
「そうね、ダンジョンとかもいいかもね」鈴乃が頬杖を付いた。
「ワクワクしますねっ」あかねが瞳を輝かした。
次の、異世界探検は、ダンジョンに行ってみると言うことになった。
「さあ、遅くならないうちに、そろそろ帰りましょうか」鈴乃がポンっと席を立った。
「そうですねっ」あかねも同調した。
「そうだね」俺はトレイを片付けた。
俺たちはワックを出て駅で別れた。
家に着いて、「ただいまー」と、ドアを開けると、「お帰りー、お兄ちゃん」と、妹の英美里の声が返ってきた。
「今日は、わたしが夕食を作ったんだから有難く頂くのだぞ」と、エプロン姿の英美里がパタパタとスリッパを鳴らしながら出てきた。
「ほーい」俺は答えた。正直ワックでハンバーガーを食ってきたところだったが、せっかく妹が作ったのだから、兄貴としては有難く頂くしかあるまい。
夕飯の前に風呂に入った。湯舟に浸かり1日の疲れを癒していると、ドア越しに英美里が「兄者、お背中でも流しましょうか?」と、声を掛けてきた。
「ばーか」と、俺は笑って答えた。
「冗談だよー。夕ご飯が冷めちゃうから、早く出るのだぞ!」と英美里はクスクス、笑いながら遠ざかって行った。
やれやれ、妹様のご機嫌が斜めにならないうちに晩飯を頂くことにするか。
風呂から上がり、食卓に行くと、揚げたエビの香りが鼻をくすぐった。
「お、今日はエビフライかな?」と英美里に尋ねると、「正解!揚げたてだよ!」と英美里の笑顔が返ってきた。
「いただきまーす」と言って、早速一口食べた。カラッときつね色に揚がっていて、タルタルソースもうまいっ!
「おっ!美味いじゃん!このタルタルソースがいいね!」と、英美里に言うと、
「わかる?このタルタルソースは、英美里特製だよ!」と英美里は嬉しそうに微笑んだ。
「お兄ちゃんも、最近何か明るくなったね。何か変わったの?ひょっとしてカノジョができた!?ひゅーひゅー!」英美里はいたずらっぽい表情を浮かべ、俺の様子を窺った。
「ばーか、そんなんじゃねーよ!最近部活に入ったんだ」この妹は..すぐ兄貴をからかう..と俺はちょっと赤くなって反論した。
「どんな部活?」英美里は覗き込む様に質問した。
「異世界探検部」俺は、ボソッと答えた。
「いせかいたんけんぶ?何それ?」英美里の頭は?になっていた。
本当のことを言っても信じてもらえないだろうと思い「RPGの部活だよ」と答えた。
「RPG?ああ、それで異世界ね!ふーん。じゃあ、みんなで集まってネトゲしてるの?」英美里は、不思議そうな顔をしていた。
「ま、まあそんなもん」俺は目を閉じちょっと頬を赤らめ、悟られない様に下を向いた。
「ふーん」英美里は口を尖らせた。
「英美里はどうなんだよ?」俺は英美里に話を振った。
「わたし?わたしは、陸上部で頑張ってるよ!」英美里は、かわいいポーズで小さな力こぶを作って見せた。
夕ご飯を食べ終えると食器を洗い、部屋に戻った後勉強し、眠くなってきたので、ベッドに横になると、すぐ睡魔がやってきた。