りんけーじ213 太陽の杖
りんけーじ213 太陽の杖
「えいっ!」鈴乃は持っていた杖を、目の模様の穴に向けて投げた。
カツーンと音がして、杖は惜しいところで外れ転がった。
「ああっ!」鈴乃が声を上げた。
その間も、陽は沈みつつあり、差し込む日差しが少なくなっていった。
「時間がない。俺たちがおとりになるから、その間にもう一度杖を!」俺たちは、バラバラに散った。
イシュペルとアゴールは俺たちを追ってきた。
「えるよ!あかねを守るのじゃ!」凜はえるに指示した。
「はい。ますたー」そう言うとえるは、ドラゴンの羽を出し、あかねを包み込んだ。
「ありがとう。えるちゃん」疲れているあかねは、えるに礼を言った。
えるは、ニコッとほほ笑んだ。
「ここまでおいで!お尻ぺんぺんじゃ!」凜はえるとあかねから十分距離を取ると、お尻を叩いて挑発した。
イシュペルは、凛を、捕まえようといたが、凛は巧みにイシュペルの手をかわした。
「鬼さんこっちやで!」マリスも挑発した。
アゴールもマリスにパンチを繰り出したが、マリスは、ひょいっとかわしていった。
イシュペルとアゴールは俺たちに気を取られていた。
「今だっ!」鈴乃はダッシュすると、転がった杖を拾い上げた。
そして、床の目の模様に向かって駆け出した。
イシュペルがそれに気づき、阻止しようとした。
イシュペルは鈴乃を踏みつぶそうと足を振り上げる。
「きゃあああ!」鈴乃は声を上げて頭をかばった。
「おりゃあああ!」俺は、鈴乃とイシュペルの間に入ると、剣でイシュペルの攻撃を受け止めた。
イシュペルの片足は俺の剣で真っ二つに切り離された。
「うわあああ」しかし、イシュペルの攻撃は強力で俺は吹っ飛ばされた。
その時、イシュペルの前にヴァールが立ちはだかった。
「ノームス・エクシテ!」ヴァールが地の精霊ノームを呼び出し、イシュペルの足元の地面を盛り上げた。
イシュペルはバランスを崩し、その場にズズーンとひっくり返った。
「鈴乃っ!」俺は声を上げた。
「うんっ!」鈴乃は頷くと杖を瞳の模様の中央に刺した。
その瞬間、夕陽の最後のひとかけらが杖の、宝石に当たった。
宝石からあふれ出した光は、神殿内を乱反射し、あちこちに跳ね返った。
その光は、やがて、イシュペルとアゴールにも当たっていった。
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