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りんけーじ209 アルム婆さん

りんけーじ209 アルム婆さん


「こんにちは、アルムさんですか?」俺は出てきた老婆に尋ねた。

「そうじゃ」老婆はぶっきらぼうに首を振った。

「アルムさんは、この土地に精通してると聞いて、お伺いしたのですが?」鈴乃が老婆に説明した。

「まあ、そんなことを言う者もおるな」老婆はふんと鼻から息を吐いた。

「それでは、オートマタ―――自動人形のことは何か知りませんか?」あかねが質問した。

「自動人形?何のことかわからんね」老婆は首を傾げた。

「人間かもしれません。何年も変わらずに生きている人のことです」俺は、手振りを交えて聞いてみた。

「ふーむ、知らん帰った帰った」老婆は手を振った。

「お婆さんこれを飲めば思い出すんじゃありませんか?」事前に俺は、アルム婆さんが意固地なことと、ワインが大好物であるという情報を仕入れていたので、事前に買っておいたワインを差し出した。

「おお、ワインか!」アルム婆さんの瞳が輝いた「それを、わたしにくれるのかい?」

「ええ、どうぞ」俺は婆さんにワインを手渡した。

アルム婆さんはワインを受け取ると、うれしそうにほおずりし、栓を開けると、ゴクゴクと飲み、プハーと息を吐いた。

アルム婆さんはチラリと俺の方を見ると、目を閉じ、しばし沈黙が続いた。

「う~む」と言うとアルム婆さんは続けた「おぬしらの言っているものかどうかわからんが、ここから、東へ150ベルメ(1ベルメ=約1キロ)ほど行ったところにあるモンス・ヴィトゥリ(ガラスの山)と呼ばれている場所がある。その山にある、ドルミエンス・テンプルムという古代の神殿に、何千年も姿を変えずに動かない少女が横たわっているという伝説がある」

「あっ!」と、みんなは声を上げた。

「フィナのボディパーツのことだろう」俺は確信した。

「お婆さんありがとうございます」鈴乃がペコリと頭を下げた。

「こんな話で、よかったのかのう?」アルム婆さんは首をかしげるとまた美味しそうにワインをゴクリと飲んだ。

「とても、役に立ちました」あかねは、アルム婆さんの手を取った。

気を良くした、老婆は再びワインを傾けると、もう一つの伝説について話した「でも一つ気を付けねばいけない。その神殿は、鋼鉄でできた二人の巨人イシュペルとアゴールによって守られていて、近づくものも寄せ付けないとも言われておるのじゃ」。

「きっと、超古代のセキュリティシステムだな。ちょっと厄介かもしれないな」俺は考えを巡らせた「フィナの蘇らせるためには、ボディパーツが必要だ。その2人の巨人を何とかしなければ」。

俺たちは、アルム婆さんに礼を言って別れを告げた。

モンス・ヴィトゥリを目指すことにした。


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