りんけーじ205 フィナの歌声
りんけーじ205 フィナの歌声
「ゴット・ヴィント!」俺は上空から剣を振ってフィナに対する攻撃を防いだ。
「フルグ・イラエ(怒りの稲妻)!」鈴乃も杖を振って、兵隊をなぎ払った。
ヴァールも四大精霊を召喚し、攻撃をはね退けていた。
あかねもシールドを展開していた。
凜は巧みにえるを操作し、えるは炎を、マリスも超音波を吐いた。
その間もフィナは歌い続ける。
「やめろぉ!」シュラとヴァルドアは耳をふさいだ。
ガルニ王国軍とボルディア帝国軍はフィナに対する攻撃を続けた。
俺たちは何とか攻撃を踏みとどめていた。
だが、あまりの数の多さに、打ち漏らす攻撃も増えてきた。
「フィナぁー!危ない」あかねが叫んだ。
どちらの軍の攻撃か、分からなかったが、フィナに砲弓が命中した。
フィナは倒れこみ、一瞬歌声が止まった。
「やったか?」シュラが叫んだ。
フィナはよろよろと立ち上がった。
その左腕は失われ、ショートしていた。
フィナはニコリと笑うと再び歌い始めた。
―――みんなをこれ以上不幸にしたくない。この町に平和を取り戻すんだ―――
そんなフィナの強い意志が感じられた。
「おのれぇーっ!全軍もっと攻撃を集中しろ!少女一人に何をてこずっておるのだ!」
ヴァルドアは剣を引き抜いた
俺たちは必死に攻撃を防いでいた。
「くっ!」防ぎきれなかった砲弾が、俺の横をかすめていく。
「フィナ!危ない、逃げろ」その瞬間俺は叫んだ。
フィナのいるあたりで、爆発音が響いた。
煙がもうもうと立ち込め、フィナの歌声は再び止まった。
しばらくすると、煙の中から、フィナの歌声が再び聞こえ始めた。
だが、フィナはもう立ち上がることはできなかった。
煙が消えると、そこには上半身だけになったフィナがいた。
体のあちこちがショートしていたが、煤で汚れたその顔は、慈愛に満ちていた。
その歌声は、温かく人々の心を包んでいった。
歌声と共に現れた虹はより鮮明になり、降り注いでいった。
「フィナァー!」俺は、涙を浮かべ叫んだ。
フィナは、俺の方を見ると瞬きしほほ笑んで合図した。
ガルニ王国軍とボルディア帝国軍の攻撃は止んでいた。
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