表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
204/294

りんけーじ204 フィナの覚悟

りんけーじ204 フィナの覚悟


「全軍前へ!」シュラは、剣を振り下ろした。

シュラの掛け声と共にガルニ王国軍は前進した。

「遅れを取るな!ボルディア帝国進め!」

ガルニ王国軍の動きを察知したヴァルドアも進軍させた。

両国の大軍勢は全面衝突しようとしていた。

「両軍が激突すれば相当な被害がでるだろう。何とか止める手立てはないものか?」俺はマリスの海竜に乗りながら、えるの地竜と上空を旋回しながら、手をこまねいていた。

その時、下でフィナが手を振って叫んでいた。

「円正寺さん、お話があります!」

俺は、マリスを地上に降下させた。

「何だ?フィナ」俺は尋ねた。

「私に考えがあります」フィナは続けた「私を、両軍の真ん中に連れて行ってもらえないでしょうか?」

「それは自殺行為だ!」俺は止めた。

「いえ、わたしは、大丈夫です。わたしは、両国の戦闘を止めさせ、この町に平和を取り戻したいんです!」フィナは苦し気な顔をして胸に手を当てた。

「でも、それは、無茶だ!いくら俺達でも、防ぎきれない」俺は再度止めた。

フィナはすうっと息を一気にしゃべった「わたしは、オートマタです。わたしが、倒れても一つの機械が壊れるだけです!」。

「そ、そんな、バカな!いくら機械と言っても人口生命体だって、一つの命じゃないか。命の重さに変わりはない!」俺は首を振った。

「でも、でもいいんです。私でなければこの戦いは止められないんです!どうか、お願い!私を連れて行って!」フィナの瞳は悲し気だったが、内に秘めた強い信念が感じられた。

「フィ、フィナ…」俺は、首を縦に振らざるをえなかった。

「ありがとう…」フィナは俺を優しく、抱きしめてほほ笑んだ。

俺の瞳からは大粒の涙がこぼれ落ちた。

「さあ、ではお願いします!」フィナはそう言うと、えるにまたがった。

俺はうなずくと、マリスを上空に飛ばした。

俺は、徐々に接近する両軍の真ん中にフィナを降ろした。

フィナは、本当に嬉しそうに、飛び立つ俺たちを見送った。

戦場の真ん中に一人ポツンと立つ少女は妙に不釣り合いだった。

フィナは胸に左手を当てると、すうっと息を吸い込んだ。

そして、両手を広げると歌を歌い始めた。

「くっ!またあの歌か!!」シュラとヴァルドア同じタイミングでつぶやくと、「全軍あの歌を歌っている者を攻撃しろ!」と命じた。


もしよかったら、ブックマークと高評価をお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ