表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
201/292

りんけーじ201 絶望の淵

りんけーじ201 絶望の淵


 その少女はオートマタとは思えない美少女で、その息遣いは生きている人間そのままだった。

「この町は、今滅びようとしています」フィナ表情は物憂げだ。

「この町は長年の戦争で疲弊し、人々の憎しみや悲しみなどの心によって、希望が忘れ去られ、その負のエネルギーの蓄積により、この世界は崩壊していきます」

「上空から見たが、黒い穴がそうなのか?」俺は確認した。

フィナは頷く。

「わたしは、歌をうたうことによって、人々の心に希望を思い出させ、世界の崩壊を食い止めています」フィナは、瞳を輝かせた。

「しかし、そのことを良く思わない人間もいて、その人間たちは私を破壊しようと狙っています」

「でも、わたしは歌い続けます。この世界の滅亡を防ぐため」

 その時、ゴゴゴゴという音と共に地震が起こった。

「なんじゃ?」凜が叫ぶ。

「絶望の淵が広がっているのです」そう言うとフィナは、すうっと息を吸い込み目を閉じた。

そして瞳を開くと、歌を歌い始めた。

その歌声は、温かみがあり、慈愛に満ちていて聴いている者の心が動かされるものだ。

フィナの歌声は、空気を震わせ、振動した空気は、虹となって周囲に広がった。

その虹は、四方に降り注ぐと、ピカピカと輝かせた。

光に覆われたガレキは、ムクムクと持ち上がると、元の街並みを復元していった。

そして、その虹は、ポッカリと空いた穴にも、降り注いだ。

降り注いだ穴は修復されていった。

だが、絶望の淵は巨大だった。

「危ない」俺は叫ぶとともに剣を抜いた。

突然ヒュンという音と共に、フィナの傍に何かが飛んできた。

俺は間一髪のところで、それを叩き落した。

それは矢だった。

自分でもその反射神経に驚いたのだが、こちらの世界で活動する様になってから、全体的な能力が著しく向上しているらしい。

「ありがとうございます」フィナはニッコリとほほ笑んだ。

「わたしを狙う者の仕業でしょう」フィナは悲し気な笑みを浮かべた。

「この様にわたしはこの町を絶望の淵から救うべく、日々歌で戦っているのです」

フィナは続けた「この町の全ての人々が、希望の心を取り戻した時、絶望の淵は閉じるのです」

「ミーは、それまでフィナを守って、この世界の崩壊を止めて欲しいと言うことか」俺は心の中でつぶやいた。


よろしければ、ブックマークと高評価をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ