りんけーじ199 「フィネス・ターレ」
りんけーじ199 「フィネス・ターレ」
俺たちは、プールから帰り、ベヒモスとの闘いの疲れを取ると、部室に集まった。
「ミーの言っていた、もう一つの世界の危機とは何だろう?俺たちで対応できるものなんだろうか?」俺はみんなに向かって言った。
「ミーは詳しいことは言わなかったから分からないわ」鈴乃が答えた。
「そりゃそうじゃ」凜が頷いた。
「一体あの世界で何が起こっているのでしょうか?」あかねは顎に右手を当てた。
「ヴァール?何か心当たりはない?」鈴乃はヴァールに尋ねた。
「そう言えば…」ヴァールには心当たりが、あった。
ヴァールは続けた「この事とは関係ないかも知れないけど、最近足の指の感覚がなくなる時があると言うか…」
「ヴァールも、せやったんか。わらわも似たような感覚を感じるときがあるねん」マリスはヴァールの方を見た。
「私もそんな感覚を感じる時があります」えるも同調した。
「ふーん。他のメンバーは?」俺はみんなを見回した。
鈴乃とあかねと凜はお互いの顔を見回し、顔を横に振った。
―――無論俺もない。
「つまり、異世界組のメンバーのみ、体の変調を感じているのか」俺は首を傾げた。
「これはひょっとして、大きなことが起こりかけているのかも、知れない」俺は心の中でつぶやいた。
「準備ができ次第、異世界に出発しよう」俺は、自分の考えが当たらなければ、と思いつつ皆に言った。
皆頷いた。
俺たちは着換えを済ませると、指輪を投げて異世界へと旅立った。
異世界の街にたどり着くと、雑踏の中の物陰の漆黒の暗闇から、ミーが音もなく現れた。
「やあ、よく来たね」ミーは喋り出した。
「やあ、ミー」俺はあいさつした。
「こんにちはミー、もう一つの世界の危機とは何なの?」鈴乃が尋ねた。
「うん、それを説明するために僕は君たちの前に現れた」ミーは答えた。
ミーはそう言うと、烏木の闇の中に溶けていった。
そして、陰から分離して現れた。
その口には、丸められた、羊皮紙が咥えられていた。
ミーは俺たちのところに来ると、その羊皮紙を放した。
「ここの地図に記された場所に行ってもらいたい」ミーは前足を出して地図を押した。
俺は地図を拾い上げ広げた。
そこには「フィネス・ターレ」と言う町が記されていた。




