りんけーじ192 流れるプール
りんけーじ192 流れるプール
昼食を食べ終えたところで「皆で流れるプールに行かない?」俺はみんなに提案してみた。
「そうじゃのう。そろそろえるの泳ぎも上達してきた様じゃし」凜が賛成した。
他のみんなも賛成した。
流れるプールに着くと「ママ、あれにのりたい!」りあはそう言うと、ゴムボートを指さした。
ゴムボートを借りるとりあは、ヴァールに手伝ってもらい乗り込んだ。
「わわわ、おもしろいっ!」りあは、ボートの乗り心地を楽しんだ。
「はー、川の様に水が流れとるな~」マリスは気持ちよさそうに、仰向けになって流れに身を任せていた。
「りあちゃん、つかまらせて」そう言うと、えるはボートにしがみつきながら、流れを楽しんだ。
みんな流れるプールを周回していると、一か所だけ、渦を巻いている箇所があった。
「変だな!?」俺は不可思議に感じた。
流れるプールは、一方向にしか流れないし、渦が巻くほど、強い流れにはしていないはず。
と思って見ていると、渦はどんどん大きく、激しくなっていった。
「きゃあ」周りの一般客が悲鳴を上げ始めた。
「危ない!みんな離れて!」俺たちは、一般客を遠ざけた。
渦は尚も大きく激しくなり、ゴゴゴゴと音を上げた。
「みんな、こっちへ!」鈴乃たちは一般客を避難させた
すると、渦の中からセイウチの様な巨獣が現れた。
「何者だっ?」俺は、それが異世界から来たものだと確信し問い質した。
「ふんっ」とその巨獣は生臭い息を吐くと、「我が名は、ベヒモス。魔王様の配下の者、最近、我が世界を脅かす者達がいると聞いて、倒しにきたのだ!」と、叫んだ。
「くっ、ベールゼバブの時と言い、最近こちらの世界に魔物たちが来るようになったとは」
俺は、心の中で叫んだ。
「さては、お前たちだな」巨獣は目をギラリと光らせた。
「さあ、どうかな?」俺は答えた。
「見れば、まだ若い女子ばかりでは」ないか!随分魔王軍を見くびられたものよのう!」ベヒモスは続ける「このベヒモスの贄としてくれよう!」そう言うと、巨獣は俺に向かって突進してきた。
俺は、ひらりと身をかわした。
一般客の避難が終わるまで、俺は、巨獣を引きつけることにした。
「ソードさえあれば」俺は心の中で呟いた。
ソードは異世界探検部の部室のロッカーの中だった。




