りんけーじ190 ウォータースライダー2
りんけーじ190 ウォータースライダー2
「何するんやぁ~」と言いながら、マリスはチューブに飲み込まれていった。
「ふぅ」と、鈴乃は息をついた。
次はヴァールと、りあの番だった。
「じゃあ、りあ。ママが先に滑るから、見てなさい」ヴァールが入り口にスタンバイした。
「下で待っているからね」ヴァールは両手をクロスすると、シュッとスライダーの流れに乗っていった。
「りあちゃん大丈夫?」鈴乃は心配そうに声を掛けた。
「うん、へーき!」と、りあは微笑んで頷いた。
「りあ、いらっしゃーい!面白いわよー」下でヴァールが手を振っていた。
りあは「よーし!さん、にい、いち、すたーと」と言って、スライダーの流れに身を任せた。
青いチューブの中に入ると最初は一瞬緊張したが、右に左にカーブしながら、ときにはぐるりとループして、あっという間に出口の浅いプールにザパパ~っと、投げ出された。
りあが出てくると、すぐに誰かが、その手を握った。
「まま」と、りあはその感触でわかった。
りあは、水から引き上げられると、スピードに対する面白さが恐怖に勝って「おもしろーい!もういっかいやりたいー」とヴァールの顔を見た。
ヴァールはふふふと笑った。
「じゃあ、私が行くわよ」と言って次は、鈴乃が「はあっ!」掛け声と共に余裕の表情で滑って行った。
ザパーンと鈴乃は滑り終えると「あんたたちも、はやく来なさいよー!面白いわよー」と言って手を振っていた。
「じゃあ次、あかねちゃん行っていいよ」とあかねに声を掛けた。
あかねは、頷くと「ちょ、ちょっと怖いですね」と言ってスライダーのスタート位置に座り、「ふーっ」と息を吐くと、「それっ!」スタートして行った。
チューブからキャーとかワーっと言う声が聞こえてきた。
やがて無事ゴールに着水したあかねは手を振った。
最後になった俺は、スライダーくらい余裕だ!と思って、スタート台に腰かけた。が、手すりをツルッと持ち損ねて、バンザイした形で滑り出してしまった。
そのスピード感とGのかかり具合はまるでジェットコースターの様だった。
手を上に伸ばしたままスタートしてしまったが、下に戻せずそれがますます空気抵抗減らす形となり、ぐんぐんと加速していった。
「ヒエッと」思わず声が出た。
それは数十秒のことだったが、ずいぶん長く感じられた。
俺は、流されるままに流されて、ザッパ~ンとゴールに勢いよく着水した。
鼻に水が入ってしまった。
目が回って何が何だか分からなくなり、水底を感じたのでフラフラと立ち上がった。
「!?」それを見ていた鈴乃とあかねは慌てておれの方に駆け寄ってきた。
「あんた!上!うえ!」鈴乃は真っ赤になりながら叫んだ。
俺は上を見上げたが、ただ真夏の青空が見えるだけだった。
あかねは必死に水中に何かを探していた。




