りんけーじ19 新たなアイテム
りんけーじ19 新たなアイテム
「これで、ノミの店主の店に行って、あかねちゃんのアイテムに変えてもらいましょう」と、鈴乃がルビーの欠片を拾った。
「はいっ!」とあかねはうれしそうに答えた。
「それと…、囮になってくれてありがと」鈴乃は俺を見ずに言った。
「お、おう」と俺は虚勢を張って答えた。
ノミの店主の店に行くと相変わらず、こちらから声を掛けないと店主がどこにいるのか分からなかった。
「こんにちは~!」と、鈴乃が声を掛けると、「なんじゃ~?」とノミの店主の声が返ってきた。
「あのう~、ダメージ回復に使えるアイテムはありますか?」あかねが尋ねた。
「ダメージ回復か…、ふーむ、そうじゃな…。アヴィリアールのブレスレットはどうじゃ?」
ノミの店主は答えた。
「アヴィリアールのブレスレットって、どれですか?」あかねが周りを見回した。
「左側の152番目の棚のうえから4段目のところに2つ揃って置いてあるじゃろ」
「えっと、広くて良くわからないんですけど」あかねが答えた。
相変わらずこの店の奥行はメチャクチャである。
「仕方ないのう。棚を呼ぶとしよう」と、ノミの店主は言い「お前さんの上に木槌と木の板が掛かっているじゃろ、そこに152と書いて、木槌をたたくのじゃ」
言われたとおり、あかねチョークで木の板に152と書き、横にぶら下がった木槌でコンコンと木の板を叩いた。
見た感じ何も起こらなかった。「あの~何も起こらないんですけど」
「ふむ、一番手前の木棚を見てみるんじゃ。棚の角に番号が書いているじゃろ」ノミの店主は言った。
「え~っと、ここかな?番号は、いち、ごう、に。えっ?152?さっきまで1番だったのにどうして?」あかねは、驚いて目を丸くした。
「じゃから、棚に来てもらったのじゃよ」ノミの店主は事も無げに言った。
「なんかすごい!」あかねは驚嘆し、棚を見た「あっ、このブレスレットかな?」。
あかねは棚から一対のブレスレットを取り出した。黒くくすんだシルバーの本体にひし形のエメラルドが埋め込まれているものだった。
ノミの店主に見せると「おお!これじゃこれじゃ。ダメージを負った者にレナトゥス
と言って、ブレスレットをつけた手をかざすのじゃ、さすれば立ちどころにダメージを負った者は回復するじゃろう」「今一つの能力はシールドを張れることじゃ。その時は、ブレスレットを付けた両手を広げてデーフェーンシオーと叫ぶのじゃ」
ノミの店主は続けて言った「ところで、今回はお前さんたち、手持ちはいかほどじゃ?」。
「オオワニの魔獣を倒した報酬としてルビーがこれだけ」鈴乃がゴロゴロと袋から取り出し机に転がした。
「ふ~む。少し足らんのう…」ノミの店主は言った。
「この間、譲ってもらった魔法の杖はとても活躍しているわ。これもおじいさまのおかげね♡」と鈴乃はウィンクした。
この店主が若い女に弱いのを利用している…と心の中で思いつつ「このソードを切れ味抜群です。有難うございます」と俺も言った。
あかねも「何とか、交換してもらえないでしょうか?命からがら手に入れたものなんです。お願いしますっ」と、目に涙を浮かべてノミの店主に訴えかけた。
「う~む」とノミの店主は唸り。しばし沈黙した。
やがて、「お前さんが付けている指輪もミーからもらったものかのう?」と、ノミの店主は尋ねた。
あかねはコクリと頷いた。
「ふー、仕方ないのう」のみの店主がやれやれと言った感じで言った。
あかねの目がキラキラした。
「お前さんも可愛いのう。わしゃあかわいい女の子には滅法弱いんじゃ。わかった、交換しよう!」とノミの店主は言った。
「ありがとう!おじいさんっ♡」とあかねは満面の笑みを浮かべて行った。
確かにかわいいと俺は、あかねの笑顔を見ながらノミの店主に同感すると同時に、「あざとい者共が、いつもすみません!と、俺は心の中で呟いた。